弾丸インプットを利用したペアワーク指導のポイント  

 「弾丸インプット」は埼玉県春日部市立大沼中学校(平成15年度)の川村光一先生が提唱されている指導方法です。
 音読を中心とした活動から始めます。この活動で「実践的コミュニケーション能力」の基礎が培えます。

活動の前に・・・
 活動に入る前に生徒にペアワークの約束を徹底させます。この活動では「スピード」「発音」「レスポンス」の3つを意識させます。
ペアワークの前に・・・
 まずは指導者がワークシートの英文を音読し,生徒はワークシートを見ながらそれをリピートします。1文再生が終わったら,その中の再生しにくい部分を指導者が何度か音読し,生徒はリピートします。 Basic Course では特にこの部分を丁寧に時間をかけて取り扱いましょう。
 個人読み最後の活動として,生徒は立って1度音読,座って1度音読します。ここで座らせても音読させるのは,そうしないと Slow Learners が,立ったまま,どんどん少なくなる声の中で読み続けなければならないからです。1度音読を終えて座った者にも音読させることにより,立ち続けている Slow Learners も,他の人の音読の声には包まれているため,焦燥感や孤独感が少しは減少します。
ペアワーク1 Speed Reading (SR)
 最初はSpeed Readingです。まず,ペアをつくってお互いのワークシートを交換します。1人が25秒でワークシートを音読します。相方はその英語を聞きながら,その英文を指でたどり,読めていたら英文横のチェック欄に「チェックマーク」を記入します。時間は教師が計ります。
ペアワーク2 Reading Naturally (RN)
 次はReading Naturally です。ワークシートは交換したままにしておきます。英語らしく,また気持ちを込めてワークシートを音読させます。今度は何文読めるかのスピードは競いません。そのかわりに,A(正確かつ適切に読めている),B(適切に読めている),C(適切さにやや欠けている),D(1人で読むのは難しい),という評価をペアの中でお互いに行い,ワークシート下部の評価の欄に記入させます。
ペアワーク3 Speaking (S)
 次はSpeakingです。ここでもワークシートは交換したままにしておきます。1人が日本語訳を読み,相方がワークシートを見ないで英語で読み上げます。すぐに応答できない場合は次に進みます。相手が英文を忠実に再生できたら,英文横のチェック欄に「チェックマーク」を記入します。
指導上の留意点
 このワークシートは単元の中で繰り返し利用します。 Basic Course では,毎回この手順に従ってワークシートを取り扱いますが,最初の2時間は Speed Reading と Reading Naturally のみの活動とし,Speakingを省略してもかまいません。ただし,慣れてきた3時目以降はSpeakingを加えて行います。
 Advanced Course で最初の2時間はこの手順どおり行いますが,慣れてきた3時目以降は Speed Reading を省略して, Reading Naturally と Speaking のみ行い,タスク活動のための時間を確保してください。























キーワードの解説 
スピード 日頃生徒が使っている英語のスピードはNatural Speed とは言えない速さであることが多い。スピードある英語を話すことを意識させる。

発音 発音は通じればよしとし,過剰に発音を意識し,コンプレックスをもたせるようなことがないようにする。ただし,ストレスやイントネーションについては十分配慮させる。

レスポンス 会話の中で3秒以上の間が空くと不自然さを感じるので,その間が空かないように応答することを意識させる。

25秒 この25秒という時間は,教師が音読できる時間に5〜10秒程度を足して算出したものである。できる子が全部読めるか読めないかぐらいの時間設定が適切である。