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実践事例 中学校第2学年 「電流と磁界」
単元名
電流と磁界
本時の目標
磁石とコイルを用いた実験を通して、磁界中の電流の受ける力の向きを電流の向き、磁界の向きと関係付けて考えることができる。
本時の展開の概要(3/6)
生徒は中学1年生の「力と圧力」で、身の回りにある力の一つとして磁石の力(磁力)を学習している。本時では、磁界と磁力線との関係、コイルによる磁界など電流の磁気作用の基本的な概念について、観察や実験を通して理解させる。また電流が磁界との相互作用で、受ける力や電磁誘導など電気の利用についての考えをもたせるようにする。
導入の事象提示のA事象、B事象の比較の視点
(エ)異なる物質に同じ操作を加えて比較させる事象提示
展開
過程
主な学習活動(○)と主な児童の意識(・)
教師の手立て(○)



○事象提示を見る
電流の向きを一定にした場合、装置1と装置2の導線が逆に動くのはなぜだろう
  事象提示
装置1 N極を上に置いた場合
装置2 N極を下に置いた場合
○磁石のN極S極の文字が見えないようにテープで隠すことにより、コイルの動く向きが逆になる理由に興味をもたせた。




○事象を説明し、考えを話し合う
・電流の向きは同じだから、磁石の置き方が違うのではないかな。
<キーワード>
  電流の向き 磁界の向き 導線が動く

○考えを交流させる中で、考えが深まったり、修正したりしたことも付加させた。



○学習問題を立てる
・電流が受ける力の向きを考える必要があるね。
電流が受ける力の向きと磁界の向き、電流の向きの関係を調べよう
○学級全体で事象とキーワードを確認し、ワークシートを基にした生徒とのやりとりを通して、学習問題を立てた。

○実験方法を話し合う
 ・磁界の向きを一定にした場合、電流の向きを変えたときの導線の動きを調べる方法
 ・電流の向きを一定にした場合 、磁界の向きを変えたときの導線の動きを調べる方法
  実験方法を話し合う様子
○磁界の向きと電流の向きのうち、変える条件と変えない条件を確認し、実験を行うための方法を整理し、学級全体で確認した。

○実験を行う
装置3 磁界の向きが一定のとき、電流の向きと導線の動きを調べる。
装置4 電流の向きが一定のとき、磁界の向きと導線の動きを調べる。
  実験の器材の様子
○再現性を意識させるために、それぞれの条件で3回以上の実験を行わせた。
○結果は表にまとめさせた。

○結果を交流する
 ・電流が受ける力の向きと磁界の向き、電流の向きの関係を調べた結果をワークシートの表にまとめ、発表する。
  結果を交流する様子
○グループごとに結果を発表させ、他のグループの結果と比較させ客観性をもたせるようにした。

○結果から言えることをまとめる
  ・
磁界の向きを逆にすると受ける力の向きが逆になる。
  ・ 電流の向きを逆にすると受ける力の向きが逆になる。
  事象提示の実験機器の様子
○最初の事象について、結果から言えることを基に再度説明させた。先に結論、そのあとに理由の順序で記述させた。
 
授業を振り返って
比較を通した事象の提示から学習問題を見いさせることで、生徒が何を確かめていけばよいのかという実験に対する意識が高まった。また、考察を事象の提示に返り再説明させたことは、課題を解決できたという生徒の満足感が増した。最初の事象提示における事象の読み取りでは、自分なりに現象の理由を記述することに戸惑っている生徒が多く見られた。どのように記述させていけばよいか、話型の示し方など教師側の工夫が必要であると感じた。
 
 

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