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実践事例 中学校第1学年 「物質の状態変化〜エタノールの状態変化」 実践A
単元名
物質の状態変化
本時の目標
アルコールが液体から気体に変化するときの体積変化の様子を調べる活動を通して、物質が液体から気体に変化するとき体積が増え、液体から気体に変化する量が多いほど、体積変化も大きくなることを理解することができる。
本時の展開の概要(2/6)
物質は液体の状態が気体になるとき質量は変わらず、体積が増える性質がある。本時では、沸点の低いエタノールを使用して、液体から気体へと変化するときの体積変化の様子を観察させる。また、気体から液体へと変化する様子から、同じ物質が温度によって様子が変わることをつかませる。
導入の事象提示のA事象、B事象の比較の視点
(エ)異なる物質に同じ操作を加えて比較させる事象提示
展開
過程
主な学習活動(○)と主な児童の意識(・)
教師の手立て(○)



○事象提示を見る
事象提示
(A:水を入れたビニル袋を湯につける。)
(B:エタノールを入れたビニル袋を湯につける。)
・水は変化がないね。
・エタノールは膨らんだ。
○水が入ったビニル袋とエタノールが入ったビニル袋の様子を見せた。
【事象A】
水を湯で温めたときは変化がない。
【事象B】
エタノールを湯で温めたときは袋が膨らむ。




○事象を説明し考えを話し合う
・エタノールが沸騰して、気体になったと考えられるんじゃないかな。

事象を話し合う様子
<キーワード>
・液体 ・気体 ・体積

○エタノールは沸点が低いこと、水は沸点が高いことに気付かせるようにした。
ワークシートの生徒の記述



○学習問題を立てる
液体から気体に変化するときの体積の変化を調べよう。
○学級全体で事象とキーワードを確認し、生徒とやりとりを行い学習問題を立てた

○実験方法を話し合う・5mlのエタノールと10mlのエタノールだったら10mlの方が大きく膨らむと思う。 ○5mlと10mlのエタノールとチャック付きのビニル袋をグループに配付した。
○湯を入れたポットを準備し、自由に使ってよいとした。

○実験を行う
実験を行う様子1 実験を行う様子2
・10mlのエタノールの袋の方が大きく膨らんだ。
・湯から出すとまた液体に戻る様子がよく分かるよ。

○1つのトレイに5mlと10mlのエタノールの袋を入れ、膨らむ様子の違いが比較できるようにした。
○熱湯に扱いには十分注意させた。
○液体が気体へと状態変化している様子をつかませるために、膨らむ様子だけでなく、冷えると液体に戻る様子も観察させた。

実験を行う様子3

○結果を交流する
結果の板書の様子
○ワークシートの表の中に袋が膨らんでいる様子を図(絵)でかかせ、実験の結果として表させた。

○結果から言えることをまとめる
・エタノールが液体から気体に状態変化するとき、体積は増加する。また、液体から気体に変化する量が多いほど、気体の体積も大きくなる。
・水も気体(水蒸気)になれば、体積が増加すると考えられる。
○沸点が低いエタノールが液体から気体へ状態変化することを基に、水についても気体(水蒸気)になれば体積が増加することを押さえた。
 
授業を振り返って
事象提示で水とエタノールを温めたときの様子を比較させたことで、エタノールの温度による状態変化に着目させることができたと考えられる。生徒は、エタノールが沸騰(蒸発)していることは分かったが、蒸発させた気体もエタノールであると考えることが難しかったようである。チャック付きのビニル袋を使用して、液体から気体、気体から液体に変化する様子を繰り返し観察することで、気体もエタノールであるという考えをもたせることができた。沸点の高さから状態変化が分かりにくい水についても、事象を提示したことで温度による状態の変化が分かりやすいエタノールを基に、水蒸気になれば、エタノールと同じ変化が起きることを考えさせることができ、物質が液体から気体に変わるときの体積変化の一般化を図りやすかった。
 
 

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