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実践事例 中学校第1学年 「物質の状態変化〜ロウの状態変化」 実践@
単元名
物質の状態変化
本時の目標
・状態変化するときの体積や質量の変化を,水とろうを使って比較して調べる活動を通して,体積は変化するが質量は変化しないことを見いだすことができる。
・状態変化では物質そのものが変化するのではないことを理解することができる。

本時の展開の概要(1/6)

物質は液体の状態が固体になるとき質量は変わらず、体積は減る性質がある。しかし、生徒は、小学校で、質量は変わらないが体積は増える性質がある水について学習している。本時では、固体の水が入ったペットボトルAと液体の水が入ったペットボトルBを提示し、質量と体積の変化について生徒どうしで説明させることにより、本時の学習問題である「ろうの質量と体積変化」へとつなげていく。
導入の事象提示のA事象、B事象の比較の視点
(イ)操作を加える事象と加えない事象を比較させる事象提示
展開
過程
主な学習活動(○)と主な児童の意識(・)
教師の手立て(○)



○事象提示を見る。
A:液体の水が入ったペットボトル
B:固体の水が入ったペットボトル
・Aと比べて、Bは膨らんでいるね。
・Bの方が膨らんでいるから質量も大きいよね。
○固体の水が入ったペットボトルと液体の水が入ったペットボトルを見せた。
Bは、Aと比べて、体積は増えているが、質量は変化していない。




○液体→固体における体積と質量の関係について説明する。
・ペットボトルAもBも、どちらもキャップは空いていないから同じ質量じゃないかな。
<キーワード>
・体積 ・質量

○自分の考えを他の生徒と説明し合い、自分の考えを確かなものとさせたり、自分とは異なる考えに気付かせたりする。



○学習問題を立てる。
ろうは、液体から固体へ状態変化するとき、体積は増え、質量は変化しないのだろうか。
○生徒の考えの共通点と相違点を確認することにより、実験に対する目的意識を明確にもたせる。

○実験方法を話し合う。
・ろうも水と同じように、質量は変化しないけど、体積は増えると思う。
○質量の測定には、電子てんびんを使用させる。

○実験を行う。
・質量は水と同じように変化しなかった。
・体積は水とちがって減った。
    固体のろう 液体のろう
〇高温のろうの取り扱いなど、安全面に十分留意するよう指導する。

○結果を交流する。

〇結果を言葉やスケッチを使って記録させる。

○結果から言えることを、キーワードを使って、まとめる。
・ろうは、液体から固体へ変化するとき、体積は減るが、質量は変化しないということが分かった。なぜなら、物質の状態が変化するだけで、別の物質に変わったりしたわけではないからである。

〇 「2 事象を説明してみる」を踏まえて、キーワードを使って記述させる。
〇自分の考えを他の生徒と交流する場を設け、自分の考えを確かなものとさせたり、つまづいている生徒に他の生徒の考えを参考にさせたりする。
 
授業を振り返って
 事象提示で、液体のペットボトルと固体のペットボトルを示したことで、固体⇔液体の体積と質量の関係を生徒に意識させることができました。また、この事象提示を基に、本時の学習問題であるロウについて考えさせたことにより、「何を調べればよいのか」「何を比較すればよいのか」など、目的意識をもって学習に取り組ませることができました。
 考察においても、ろうの質量と体積の変化と、水の質量と体積の変化について、その違いや共通点を考えさせたことで、学習のまとめを具体的に記述させることができました。また、解決のキーワードを明確に設定したことは、学習問題の設定や考察の記述に有効でした。
 
 

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