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実践事例 小学校第6学年 「水溶液の性質」 実践A
単元名
水溶液の性質
本時の目標
水溶液の中には、気体が溶けた水溶液があることを理解することができる。
本時の展開の概要(10/13)
水溶液の中には、塩酸や炭酸水のように気体が溶けたものがある。本時では水が入ったペットボトルと炭酸水が入ったペットボトルを湯で温めたとき、炭酸水のペットボトルからのみ泡が出る事象を見て、溶けている気体(二酸化炭素)が出てきたのではないかという考えをもたせる。その後、本当に二酸化炭素は水に溶けるのか実験で確かめる活動を通して、水溶液には気体が溶けたものもあることを実感を伴って理解させる。
導入の事象提示のA事象、B事象の比較の視点
(エ)異なる物質に同じ操作を加えて比較させる事象提示
(ウ)既習事項と未習事項を比較させる事象提示
展開
過程
主な学習活動(○)と主な児童の意識(・)
教師の手立て(○)



○事象提示を見る
事象提示
(A:炭酸水の入ったペットボトルを55℃程度の湯につける。)
(B:水の入ったペットボトル55℃程度の湯につける。)
・炭酸水の方はあわが出てきたぞ。
・水は何も変化がないね。

○水が入ったペットボトルと炭酸水が入ったペットボトルを湯で温めて炭酸水から泡が出てくる様子を見せる。
○事象を見せた後、Aは炭酸水、Bは水であることを知らせ、市販の炭酸水のラベルには「二酸化炭素」の表記があることを知らせた。
【事象A】
炭酸水を湯で温めると泡が出てきた。 Bの様子から水の沸騰とは関係ない。
【事象B】
水を湯で温めても変化はない。




○事象を説明し考えを話し合う
・あわは水蒸気と思ったけど55℃湯では水の方は変化がないよ。
・炭酸水は二酸化炭素が溶けていると考えると、それが出てきたと考えられるのではないかな。
<キーワード>
 あわ  気体  二酸化炭素
○出てきた泡は二酸化炭素と考えると説明がつくと考えている児童の意見を取り上げ、全体に投げ掛けた。



○学習問題を立てる
・水に二酸化炭素が溶けるとはどういうことなのだろうか。

二酸化炭素は水に溶かすことができるのだろうか調べよう
○学級全体で事象とキーワードを確認し、児童とやりとりを行い学習問題を立てた。

○実験方法を話し合う
・水に気体を溶かすときには食塩や砂糖と同じようにはできないね。
・水上置換で、酸素を溶かすことと二酸化炭素を溶かすことをやって変化の違いを見てみよう。
・二酸化炭素が溶けていることを証明するのに、リトマス紙と石灰水が使えるよ。
○水に溶ける気体、溶けにくい気体の比較のため、二酸化炭素ボンベと酸素ボンベを与えた。
○気体を溶かす方法として水上置換について説明を行った。
○二酸化炭素が溶けていることを証明するためにリトマス試験紙、石灰水を与えた。

○実験を行う
実験を行う様子1 実験を行う様子2
・二酸化炭素の方はペットボトルがへこんだ!酸素は変化がない。
実験を行う様子3
・二酸化炭素を溶かした方は、石灰水を入れると白く濁ったよ。酸素は変化がない。
○水上置換についてはグループで協力させ、酸素と二酸化炭素をペットボトルに入れてふる実験を全員に体験させた。
○実験活動の終盤に、二酸化炭素を溶かした水が導入実験で事象Aと同じ現象が起きるのか、試させた。
実験を行う様子4

○結果を交流する
・ペットボトルに水と二酸化炭素を入れてふるとへこんだ。
・ペットボトルに水と酸素を入れてふると変化がなかった。
・二酸化炭素を溶かした水を湯につけると泡が出てきた。
○水に二酸化炭素を入れてふるとペットボトルがへこむ現象は二酸化炭素が水に溶けているということ、溶けにくい気体(酸素)の場合はへこまないことを押さえた。

○結果から言えることをまとめる
・炭酸水を湯につけると泡が出てくるのは、水に溶けていた二酸化炭素が出てくるからである。
○初めの事象提示に立ち戻らせ、事象Aについてもう一度説明をするようにさせた。
 
授業を振り返って
比較の事象提示や比較の実験(対照実験)によって、変化の違いに着目して実験を行うことができた。本時の事象提示では先に炭酸水から提示したことで、あとの水のときに児童は、より泡に着目して変化がないことを確認できた。本時の水上置換については、教師が実験の技能として教えるところであると考えている。そのため、ある程度手順を説明する必要があったが、やはり時間がかかった。実験活動の時間の中で最初の事象の再現として、児童が二酸化炭素を溶かした水を湯につける実験も行わせたが、全員にその様子を確認させなかったので、改めて、全員の前で確認した方がよかった。
 
 

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