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実践事例 小学校第6学年 「水溶液の性質」 実践@
単元名
水溶液の性質
本時の目標
アルミニウムを溶かした塩酸を加熱して出てきた物質が、アルミニウムであるかどうかを調べる活動を通して、アルミニウムは塩酸に溶けて別の物質に変わったことについて根拠を示して説明することができる。
本時の展開の概要(7/13)
アルミニウムは塩酸に溶けると別の物質になり塩酸の中に存在している。前時のアルミニウムを塩酸に溶かした水溶液を熱して出てくる析出物がアルミニウムといえるのかについて、「もしアルミニウムだとしたら」という仮定の下、析出物がアルミニウムではないことを導き出させる。
導入の事象提示のA事象、B事象の比較の視点
(ア)素朴概念(イメージ)と科学的な概念を比較させる事象提示
(エ)異なる物質に同じ操作を加えて比較させる事象提示
展開
※事象提示動画については、分かりやすく撮りなおしたものを掲載しています。
過程
主な学習活動(○)と主な児童の意識(・)
教師の手立て(○)



○事象提示を見る
事象提示
(左:A 塩酸を熱したもの)
(右:B アルミニウムを溶かした塩酸を熱したもの)
・塩酸だけだと何も残らないんだな。
・アルミニウムを溶かした塩酸は白い粉が出てきた、何だろうか。

○塩酸だけを熱したときと、アルミニウムを溶かした塩酸を熱したときのあとに残ったものの様子の違いを比較させ考えられる説明を記述させた。
【事象A】
塩酸を熱したら何も残らない。
【事象B】
アルミニウムを溶かした塩酸を熱したら白い粉が出てきた。




○事象を説明し、考えを話し合う
事象を話し合う様子
<キーワード> 白い砂(粉)  アルミニウム
○事象を説明し合っている児童の中に入って、「アルミニウムが出てきたのではないか」という児童の考えを他の児童にも広げるようにして、学級全体としての仮説を考えさせた。
ワークシートの記入の様子



○学習問題を立てる
・出てきたものはアルミニウムなのだろうか。

白い砂(粉)のようなものはアルミニウムなのだろうか調べよう。
○学級全体で事象とキーワードを確認し、児童とやりとりを行い、学習問題を立てた。

○実験方法を話し合う
・アルミニウムなら電気を通すよ。
・アルミニウムは水には溶けないね。
・アルミニウムなら塩酸に溶けるね。
○「もしアルミニウムだとしたら」という視点をもたせ、ワークシートの表を示し、アルミニウムの性質と実験方法が対応するように記入させた。

○実験を行う
実験1「電気を通すか」
実験を行う様子1
実験2「塩酸に(泡を出して)溶けるか」
実験を行う様子2
実験3「水に溶けるか」
実験を行う様子3

○アルミニウムを溶かした塩酸を熱して析出させたものは事前に教師が作成しておき、グループで使用させた。
実験素材
○再び塩酸に溶かす実験では、塩酸が金属を溶かしたときの様子を想起させ、泡を出して溶けているかそうでないかに着目させた。

○結果を交流する
実験1「電気を通さなかった」
実験2「塩酸には溶けたが泡が出なかった」
実験3「少しだが水に溶けた」

結果の交流の様子

○結果から言えることをまとめる
・白い粉のようなものはアルミニウムではない。なぜなら電気も通さず、塩酸に入れてもあわが出ず、水にも溶けたからだ。
○初めの事象提示に立ち戻らせ、事象Bについてもう一度説明をするようにさせた。
 
授業を振り返って
最初の事象Aで塩酸だけを熱しても何も残らないことを確認した上で、事象Bを行って事象の説明を書かせたことで、「出てきたものはアルミニウムと考えられる」という児童の予想や仮説が導き出しやすかった。それが確かな問題意識となり、目的に沿った実験活動を行わせることにつながった。析出させた白い粉のようなものを水に溶かす実験では、溶かす量の説明が不足し、溶けきれない状態を「溶けない」と判断してしまう児童が多く見られた。机間指導での助言が必要であった。考察にて導入の事象を再説明させたことは、学習して得た知識を使った表現活動となり、活用を意識させるようなまとめ方となった。
 
 

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