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実践事例 小学校第5学年 「 電磁石の性質」 実践B
単元名
電磁石の性質
本時の目標
電磁石の極の変化と電流の向きを関係付けて考えることができる。
本時の展開の概要(7/9)
電磁石は流れる電流の向きによって極性が変わる性質をもつ。電磁石の両極に方位磁針を近付けたときの針の様子から電磁石の極が分かることから、自分の電磁石の極を調べてみる。友達と電磁石の極の結果がそろわないことから、電池の向きが電磁石の極に関係していることに気付かせる。
導入の事象提示のA事象、B事象の比較の視点
(ア)素朴概念(イメージ)と科学的な概念を比較させる事象提示
(ウ)既習事項と未習事項を比較させる事象提示
展開
過程
児童の学習活動(○)と主な児童の意識(・)
教師の手立て(○)



○事象提示を見る
事象提示1 事象提示2
<A 棒磁石の極>
<B 電磁石の極>

・棒磁石は青がS極で、赤がN極だ。
・電磁石は右がS極で、左がN極だね。

○棒磁石と電磁石のそれぞれの極の端に方位磁針を近付けて、方位磁針の針からそれぞれ何極になっていると考えられるか尋ねた。(テレビに拡大投影)
事象A
棒磁石には極があり、方位磁針でそれが分かる。
事象B
電磁石にも極があり、方位磁針でそれが分かる。




○事象を説明し考えを話し合う
・電磁石にも極があったね。
・方位磁針のN極が指してる方の巻きはじめがS極で、方位磁針のS極を指してる巻き終わりはN極だ。
事象を話し合う様子
<キーワード>
・N極 ・S極 ・電磁石の極

○電磁石の両極の呼び名については、コイルの「巻きはじめ」と「巻きおわり」とするようにさせた。
実験素材




○学習問題を立てる
巻きはじめがS極で、巻き終わりがN極だといえるのか調べよう。
○学級全体で事象とキーワードを確認し、児童とやりとりを行い学習問題を立てた。

○実験方法を話し合う
・先生がやったように方位磁針を使えば簡単に分かるよ。
○電流の大きさ(電池の数)やコイルの巻き数は同じにさせるようにした。
○児童それぞれ異なる結果(電磁石の極)になることをねらい、電池の向きには特に触れないようにした。

○実験を行う
実験を行う様子
・私のグループはみんな同じ結果になった。
・僕のグループは違う結果の人がいたよ。

○一人一人に方位磁針を使わせて、自分の電磁石の極を調べさせた。
○調べた結果をグループで共有させるようにした。
○グループ内で結果がそろわないことに気付かせ、結果が異なる回路同士を比較させることで電池の向きに着目させた。

○結果を交流する
・グループ内で結果が違った。
・自分たちのグループはみんな同じだったけど、隣のグループとは違った。
・極が違う回路を比べると電池の向きが違った。
○電池の向きで極が変わることに気付いたあと、全員で電池の極の向きを変えて電磁石の極の向きが変わることを確かめさせた。

○結果から言えることをまとめる
・電磁石はコイルの巻き数が増えると強くなることが分かった。だから電磁石の強さはコイルの巻き数で変わるということが言える。
○実際には電磁石の極はコイルを巻く向きによっても変わるが、本時では電池の極の向きで電磁石の極は変わることのみを扱った。
 
授業を振り返って
初めの事象A、事象Bがなぜそれぞれの極が分かるのか、それぞれについて理由を記述させるということが曖昧であったため、児童等は自分の考えの交流でもB電磁石の極の結果のみを出し合ってしまっていた。そのため、解決のキーワードを出すことに戸惑う児童が多かった。「巻きはじめ」と「巻き終わり」の名称を与えたことで、自分の電磁石の極についてお互いの電磁石の極がみな同じにならないことがあることに気付けたことはよかった。考察にて導入の事象に立ち戻らせることについても最初に理由を述べさせていなかったため、「電磁石の極は電池の向きで変わる」と性質のきまりを記述する児童が多かった。
 
 

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