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実践事例 小学校第3学年 「風やゴムのはたらき」
単元名
風やゴムのはたらき
本時の目標
実験の結果を基に風の強さによる車の動き方の違いについて説明することができる。
本時の展開の概要(3/8)
風の力の強弱によって、その力で動く車が進む距離や進み方は変わる。本時では体験的に得る風の強さと風で動く車の動きの関係を数値化し表に整理させ考察させることで、風の力をエネルギーとしてとらえさせる。
導入の事象提示のA事象、B事象の比較の視点
(ア)素朴概念(イメージ)と科学的な概念を比較させる事象提示
(ウ)既習事項と未習事項を比較させる事象提示
展開
過程
主な学習活動(○)と主な児童の意識(・)
教師の手立て(○)



○事象提示を見る
事象提示
(板書)
A「風が強いとき(     )進む。」
B「風が弱いとき(     )進む。」
・■■君は、風が強いときも弱いときもあまり変わらない動きをしたけど、自分はちょっと違うと思う。

○前時にうちわで扇いで車を動かして遊んだことを基に代表児童を車に見立てて、後ろから送風機で児童に風を当て動きを再現させ、個々のイメージと照らし合わさせた。
【事象A】
送風機の「強」で風を送ったとき、■■君は〜まで進んだ。
【事象B】
送風機の「弱」で風を送ったとき、■■君は〜まで進んだ。




○事象を説明し、考えを話し合う
話し合う様子
<キーワード>  きょり はやさ
○事象A、Bについて板書に示した「風が強い(弱い)とき・・・。」についてそれぞれ記入させた。
事象の説明を書かせたあと、考えを自由に交流させた。

○キーワードは、交流活動のあと学級全体で教師と共に話し合って出し合わせた。



○学習問題を立てる
・風が強いときと弱いときで車の動く距離はどのくらい違うのかな。
風の強さを変えると、車の動くきょりやはやさはどうかわるのか調べよう。
○学習問題は、教師とやり取りをしながら学級共通のものにした。
○風の強さと距離の関係を探るために「どうかわるのか」という視点をもたせた。

○実験方法を話し合う
・シールまでの距離を測ればいいんだね。
○風の強さは送風機の「強」「中」「弱」の3つで試すようにさせた。
○実験方法については、教師側から提示して、車が止まったところにシールを貼るように指示した。

○実験を行う
実験を行う様子1
実験を行う様子2
○「強風」は赤いシール、「中風」はピンクシール、「弱い風」は青いシールを床に貼らせて結果(距離)の記録を残させた。
○1mごとに印を付けたビニルひもを距離を測る道具として与えた。
○強中弱それぞれ3回の実験を終えたグループから、「強」「中」「弱」それぞれの一番長い距離の結果を報告させ、クラスで一覧表にまとめさせた。
結果を表にまとめる様子

○結果を交流する
結果の一覧表
・動いた距離の数値は少し違うけど、「強」「中」「弱」で見るとどのグループもだいたい同じくらいの結果のようだ。
○グループの結果をさらに学級の結果として一覧にしてどのようなことが言えるのか考えさせた。
○「速さ」については感覚をことばで表現させ、記録させた。

○結果から言えることをまとめる
・風が強いときは、きょりは長く、速さも速い。風が弱いときは、きょりは短く速さもおそい。
○事象提示の「風が強いとき」「風が弱いとき」の2つの視点から風の強さと車の動き方を関係付けて考察させた。
 
授業を振り返って
風が強ければ車も遠くまで進むことは、体験的に感じているが、事象提示で「弱い風」についても考えさせたことで、風の強弱と車の動きの遠近との相関を表すことの意識付けができた。動いた距離の結果を床にシールを貼らせたことで、実験結果を視覚的に確認できたことがよかった。また実験の順番に結果の表に示した番号とシールが対応するようにナンバリングを施したことで、自分たちが風の「強」「中」「弱」のどの実験をしているのか確認しながら実験でき、効果的であった。距離を測る「測りひも」は、1mのポイントだけでなく50cmのポイントも打った方が距離を表しやすかったように思う。
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