平成14年度 佐事研セミナー質疑応答記録集

平成15年1月28日(火)

 

講 師  :文部科学省初等中等教育局

                       施設助成課 課長補佐 笠井俊秀 様

代表質問者:佐賀県公立小中学校事務研究会

                             研究部長 小川洋起

 

【代表質問者】

このセミナーの開催にあたって、あらかじめ佐事研会員の皆様から質問をいただいておりましたが、質問の真意が伝わらないかもわかりません。その際には、是非、手を挙げて補足していただきたいと思います。また、最後に会場の皆様から直接質問の時間を取っていますので、その際にもよろしくお願いしたいと思います。

今回、学校の施設・設備のことでいろいろと勉強させていただきました。まず質問全体の要約を紹介したいと思います。「地域参加による学校作りのすすめとして、生き生きとした子どもの声が聞こえる明るい住まい・町・学校づくりのために、地域と学校と行政が手を取り合って子ども達を育み、皆が元気になれる地域社会を目指して、町・人・思いをつなぐ学校施設、それから地球環境のために私たちができること、それから健康的な学習環境を確保する」などたくさんあります。これらはほんの一例にすぎないのですけれども、そこで今日は笠井補佐には大変お疲れのところ申し訳ありませんが、私の代表質問にお答え願いたいと思います。どうぞ最後までよろしくお願い致します。

第一の質問になります。大規模の改造工事を行うところがありますが、その際の手順なり、留意点について教えていただきたいと思います。この方の質問はこういうふうに書いてありました。

「私の勤務する多久市は、小中10校あり、各校とも消防施設が老朽化しており、毎年消防署の指摘を受けています。しかし、市の財政事情が悪く、予算措置ができません。そこで、1校だけでは補助額に達しませんが、10校あわせて補助事業を受けられますか」という質問です。また大規模改造を行う場合にどういうふうにやるかというと、例えば先進校を視察し、それから設計事務所の方と話し合いをして、教職員の要望を具体的に設計図の中に入れ込む作業だとか、または校内外の(例えば)教育委員会の担当者との連絡調整などいろんな仕事・役割があると思いますが、その中で学校事務職員としてどのようなものを担えばよいのか教えていただきたいと思います。

 

【笠井補佐】

 第1点目のご質問に対しては少し厳しい話をいたします。現状をお話ししますと、国も財政状況が厳しい中、公立学校施設整備費予算は平成14年度まで、毎年削減されてきております。実は、昭和55年度には5、713億円の予算がありました。当時は児童生徒の急増に対応して、教室不足を補うための多くの校舎等を建てる必要があったのですが、その後の児童生徒の減少と国の厳しい財政状況の中で、補助金が削減されてきております。

 今日、国と地方の適切な役割分担が大きな課題になっており、地方交付税や起債など地方財政措置で対応する分と補助金として対応する分との区分が明確に分かれております。

 大規模改造事業について言えば、例えばトイレの大規模改造については、事業費が400万円以上であれば補助対象となります。

 今回の、消防法の関連ですけれども、こういう形で法令的に適応させなければいけないというものについても、一事業に付き400万円以上という制限がかかってきます。国の補助制度では零細補助金の基準がありまして、市町村ですと原則500万円以下の事業が、零細補助金に該当します。例外的に、大規模改造の一部の事業は、400万円以上の事業費であれば、国庫補助の対象としております。これ以下の事業については、地方債や交付税等の地方財政措置で、対応していくこととなっております。一学校の事業規模が400万円以上でないと補助の対象にはならないというのが現状です。

もう一つの質問、大規模改造や改築にあたって学校事務職員がどういう形で関わっていくかという話ですが、一番学校の現状をご存知なのは、実際学校に勤務されている皆様ではないかと思っております。大きな市町村でしたら、施設整備担当課の組織も整っているかと思いますが、小さな市町村では、組織が小さく、様々な問題に対応しきれない場合もあるかと思われます。そういう中で皆様方が、今後の学校施設整備に果たされる役割は、非常に大きなものがあると思います。更に言えば、校長先生や先生方を側面から支え、リーダーシップを発揮しながら、より良い学校を作っていく大きな起爆剤になっていかれることと思います。さらに、いろいろな制度を学んでいただいて、疑問点がございましたら施設助成課のホームページ等を活用いただければ、メールで疑問点をお答えしております。

これらを通じて、皆さんが勤務されている学校を少しでも良くしていただければと思います。設計事務所と話し合いをされる場合でも、皆さんが参加されて、具体的な要望を伝えていただきたいと思います。限られた財源の中でいいものを作るという知恵は、学校現場をよくご存知な皆様が一番もたれているのではないでしょうか。

 

【代表質問者】

 前段はちょっと厳しいかもわかりませんが、後段の部分については学校事務職員が現場のことを一番よく知っているということで、大いに頑張ってほしいという激励を受けました。

 二番目の質問に移りたいと思います。私の勤務しております三根地区の中学校は、昭和38年に建設されて今日に至っており、部分的な改修工事はしているのですが、全面改修をしておりません。そのため傷みがひどく、子ども達がかわいそうだという意見を聞いています。町の方もやっと考えて、耐久度調査を来年度800万円で予算化をしていると聞いております。今まで町が踏み切れなかった原因を考えてみますと、財政事情が悪いことで、学校施設が他の公共事業に比べて後回しになっているようです。

そういう場合に、どうしたらうまく学校施設設備を優先的に考えられるか、知恵が何かありましたらお貸し願いたいというのが一つ目です。

二つ目には、耐震診断と耐力度調査、これは講演の中でも話がありましたが、その違いを一言で言うと、どういうことでしょうか。

三つ目は、ここだけの話として非常に言いにくいのですが、どうすれば文部科学省の補助金がつくのかということです。文部科学省としては、全国にたくさんの該当地区・該当校がある場合に、どういう形で優先順位をつけているのかなと思います。特別な趣意書や何か特別につければ早く予算が付くのか、そこら辺をよかったら教えてください。

 

【笠井補佐】

現在、公立小中学校は34,000校以上ございます。多分、どこの市町村も財政は非常に切迫した状況ではないかと思っておりますが、地方においても何としてでも学校の安全性を確保するための予算は確保していただくようお願いします。

国としても公立学校施設の整備予算を15年度は対前年度50億円の増額を果たしたところです。今後も、皆様の協力を得ながら、予算確保を努力してまいりますので、側面から応援をいただきたいと思います。

 このような状況で市町村におかれて、どういう形で補強事業や改築事業をやっていくかですが、我々がお願いしたいのは、昭和56年以前の建物の耐震診断等をできるだけ早く実施して欲しいということです。たぶん一部では、「いずれ改築する予定の学校だから、当面は構わないでおこう」という学校があるのではないかと思いますが、文部科学省としては、昨年以来、「とにかく耐震診断等をしてください」と申し上げてきました。診断をした結果、「耐震力が非常に不足しており改築しなければならない建物、緊急に補強しなければならない建物、安全性に問題はなく当面は補強しなくても大丈夫な建物」と耐震診断等の結果によって整備の必要度が判断できます。初期診断については、特別交付税等の措置を総務省にお願いしております。また、二次診断を実施した上で補強する場合については、診断経費も含めて、計画的に整備する校舎については、国庫補助率二分の一という補助制度を設けております。

耐震診断結果の数値の一つとしてIS値がありますが、通常IS値が0.3以下の場合は、原則、改築する必要があります。IS値0.3〜0.7については、補強が必要で、0.7以上のものについては、巨大地震でない限り、安全性は大丈夫ということです。そのような指針もありますので、耐震診断をした結果、「補強をするのか、改築をするのか」を判断していくこととなります。

それから耐力度調査は、義務教育施設費国庫負担法等で規定してあります危険建物、いわゆる改築事業を国庫負担するにあたっての一つの基準となる調査です。構造耐力の低下や保存度の低下など、諸々の指数を合わせて、原則「5,000点以下の学校建物改築について国庫負担ができます」と規定しております。改築に当たって、国庫補助金を支出す制度でございます。これら制度等を上手く活用して「改築にするのか、補強にするのか」を決めていただきたいと思います。

最後に、どうやって予算が取れるのかという非常に難しい質問なのですが、市町村の事業計画に見合った国の予算のパイが確保できればご要望に対応できるということです。

 その他に、緊急性の高いもの、やはり耐震診断をやった結果どうしても整備の緊急性が高くて早く補強しなければいけない学校については、優先的に採択をしております。あとは、事務的な話になりますが、今年でしたら、当初予算とは別に補正予算という枠の予算がありました。補正予算を執行するというのは学校現場も教育委員会も通常よりは、多くの作業となります。しかし、これからは当初予算だけでは、今後見込まれる多くの整備需要に対応できないのではないかと考えます。「できるだけ平等に、本当に必要か」という視点で計画をみていきます。しかし、当初予算だけでは、なかなか多くの要望に答えることができないということもあります。補正予算が計上された時には上手く活用してください。

多少、準備で忙しくなるところはありますが、制度を活用する市町村は、整備が1年でも2年でも早く進んで行きます。補正予算は大変だと思われるかもしれません。しかし、学校の環境向上を図るためには、この制度を上手く活用していかないと整備がなかなか進まないというのが現状ですので、是非ともご協力いただきますようお願い致します。

 

【代表質問者】

「補正予算は非常に厳しいけれどもチャンスである」と伺いましたので、是非参考にしたいと思います。

3番目の質問です。大阪の池田小学校で悲惨な事件がありましたが、学校施設の防犯対策、安全確保のための補助事業についても詳しく述べていただきました。そのことについてのモデル校、またはレイアウト等があれば、ご紹介願いたいと思います。このこととは別の観点で、「気楽に地域の方に立ち寄ってほしい」とか、「ボランティアをお願いしたい」等の側面を含めた学校開放という視点があります。これら二つの視点、二つの物の考え方の調整をどう考えて行えば良いのかアドバイスをお願いします。

 

【笠井補佐】

非常に難しい問題です。

私も10年以上学校の施設整備を担当してきておりますが、事件が起こる数年前、「塀がない学校はいいですよね。見晴らしがよく、児童の表情を見ることができ、地域と学校の距離が近くなり、地域の人が学校の運営にも参加してくれます。かえって高い塀があることによって、その塀の見えない所で子どもたちに何かあったりするので、高い塀をなくして、外から子供達の活動が見える環境にしました。このことで、地域との風通しが良くなりました」という話をある学校の校長先生からお聞ききしました。

学校開放を促進しながら防犯対策をいかに行っていくか、非常に難しい問題ですが、先程申し上げました調査研究報告書には様々な方策が提示されていますので、参考にしていただきたいと思います。

既存の施設を改造する必要がありましたら、大規模改造事業の補助制度を活用ください。例えば、職員室や事務室の位置を見渡しの良い、子どもたちが見えるような位置(入り口近く)に再配置する等、施設的な配慮としてはいくつかの視点があります。

死角をできるだけ作らないということも大事な観点かと思います。常に大人が見ているという雰囲気を学校全体で作っていくことが必要です。施設面で配慮すべき所(出入り口の位置や夜間照明等)には、気を使いながら地域全体で学校を守っていくしかないと考えます。

結局、その地域の環境に配慮しながら、防犯マニュアル等の危機管理を、事務職員の方も参加するなかで、構築していくことが一番大事なことかと思います。

 やはり、最終的には人の力です。そういう組織経営ができるかがポイントかと考えます。学校開放は屋内運動場だけではなく、校舎についても今後必要性が高まってきます。

管理責任を学校だけに担わせるのではなくて、地域全体で学校開放を運営していく必要があります。

現に、そういう学校もたくさん出てきています。教頭先生1人が全部やるのではなく、地域全体の人々で学校開放の運営をしていく必要があります。それにはそれぞれの責任を地域の一人一人が持つということになります。

 

【代表質問者】

今度は、トイレのことです。学校のトイレというのは、とても重要な施設だと思います。児童生徒が学校生活を快適に過ごすため、毎日の生活をきちんとするためにもトイレは重要であると思います。ある学校での話ですが、非行等の逃げ場所がトイレであったりもするわけです。ゆったりとした清潔な空間のトイレを本当に保障したいものです。

トイレの改修をする場合の補助金制度について、すでにお話をしていただきましたが、以前のトイレとは、随分変わってきたように思います。例えば、学校が荒れた時にはまずトイレの改修から始める、と伺ったことがあります。その辺りの考え方の問題も含め、トイレの改修のことを質問したいと思います。

 

【笠井補佐】

補助制度の話からさせていただきますが、昨年度からトイレ改修だけの工事についても大規模改造事業の中で補助金の対応が出るように制度改正を行いました。事業費が400万円以上ということなので、その棟のいくつかのトイレの改修をすれば対象となります。

現在、学校のトイレ研究会などでトイレのあり方の検討がなされておりますが、トイレはただ単に用をたす場ではなくて、「ゆとりの空間」を持って、子どもたちが集える場所に改修していこうとの方向性があります。ただ難しいのは、コストの関係で、最高の設備となると、都市部では、全部の学校に行き渡るまで数十年かかってしまうということです。     できるだけ多くの学校に整備していきたいというのが我々の考えです。

厳しい財政の中で、補強かトイレかと言われると非常に難しいところがありますが、制度を上手く組み合わせながら整備を進めていただきたいと思います。トイレ改修事例については、冊子もたくさん出ております。これらも活用しながら是非、トイレの改修をすすめていただきますようお願い致します。

 

【代表質問者】

従来の学校というのは、子どもたちが授業を受ける必要最小限度のエリアであればいいという考え方がありました。でもどうも今日の講義を拝聴したり、資料を拝見しておりましたら、私自身、随分考え方がかわってきた感じがしています。

一回学校を作りますと50年・100年、100年は少し無理だとしても、50年ぐらいは、少なくとも将来にわたって地域の大きな文化の殿堂になり得るのではないかと考えます。これから、もし私たちが学校の建設や大規模改造に立ち会った時にどう対応していけば良いのかということを、是非この際私たちに教えていただきたいと思います。

 

 

【笠井補佐】

 これからの学校は、子どもたちや先生方だけのための施設ではなく、学校を中心に地域社会を活性化していくという視点をもって整備を図る必要があると思います。

 これからの学校は、学校をベースに地域が育っていくと考えます。大人にとっても、学校施設というのは思い入れがあります。何十年経っても学校という施設に対しての思い入れを持っていますので、「学校施設を核とした街づくり」が、社会形成の中のあり方としても大事になってくるかと思います。

そういう中で、学校を建てかえるなり、新しく作る際に、形だけの学校の説明会でなく、いろいろな意見を聞きながら作っていくことが大事かと思います。行政としては、非常に大変で苦労もするし、「綺麗事だけではすまない」という話はあります。しかし、できるだけ良いものを作っていく努力が必要です。逆に、外部の方々も単に批判をするだけではなくて、どうすればその学校が良くなるかという建設的な意見をだしていただいて、それを皆さんが、調整をして事業を計画して欲しいと思います。

学校整備にあたり、これから我々や皆さん方に求められる能力は、地域の方や先生方との調整を図り、知恵をだしながら良いものを作っていくことだと思います。これからは、高くて良いものではなくて、高いコストでなくても良いものが作れる時代になったのではないかと思います。コストを上手く下げながら、より良いものを作っていくために、どこをどう工夫できるかの視点も大事になってくると思います。何ぶん限られた予算の中で多くの学校をより良くしていかなければなりません。先程申しましたエコスクールで「中水利用」等、環境に配慮した学校の提案をするという視点で、学校の改修や改築を計画していくことも大事かと思います。

 

【代表質問者】

最後になりますが、会場の皆さん方に日頃、笠井補佐が考えておられる人生の応援歌や、処世訓、何かそういうことをお話していただけましたらと思います。

 

【笠井補佐】

現場のことをよく知っている、沢山の方々からできるだけ意見を聞かせていただきたいと思っております。できるだけ、いろいろな所に出かけて行っては、話を伺っています。

 近年、学校整備を推進するにあたって、これは大きなヒントになるなという話を伺うことが多いです。例えば、このような会場で沢山の意見を聞かせていただけるのが、私にとって大変励みになります。

皆様は現場で先生や生徒さんたちとの関わりが非常に深いと思います。それぞれの状況を細かいところまで一番見られているのは、事務職員の方ではないかと私どもは思っています。事務の方が学校運営にあたられて、細かい配慮をされることが、学校運営上、一番の潤滑油になるのではと思っています。是非そういう役割を学校の中で果たして頂きたいと思います。

 

【代表質問者】

今回の笠井補佐の講演と質問を通して私は「学校とは何だろう」ということを改めて考えさせていただきました。最後には暖かいメッセージまで贈っていただいて本当にありがとうございます。これをもちまして代表質問を終わります。ありがとうございました。

 

【司会者】

それでは会場の方からのご質問をお受けいたします。質問の際は学校名とお名前をお願いいたします。

 

【会場質問者】

三日月小の古川です。私も数年後に、今の小学校を建てかえる予定があります。現在建てかえられている学校というのは、オープン型スクールが非常に多く、昔の箱型(四間五間の箱型)からずいぶん変わってきました。オープン型スクールは、今日のテーマである新世代型学習空間に密接に結びついています。しかし、そのオープン型がすべていいのかというと、やはり一長一短あります。1975年の富山の福光中部小学校から変遷して、幕張の打瀬小学校、瀬戸の品野台小、博多小と、いろんな形に変わってきています。新しい校舎を作ろうとした時に、オープンスクールも欠点がたくさんあります。こういう流れの中、笠井補佐は、新築の傾向をずっと施設助成課の中で見ておられます。最近の学校施設は、箱型的なものはあまりなく、全部オープンスクール型になっているのか、それとも例えば、間仕切りを動かすタイプになっているのか。学校建設をする場合に、どこをベースに考えた方が良いのかを考えています。そこで、その傾向を笠井補佐の個人的見解も含めてお伺いしたいと思います。

 

【笠井補佐】

近年はオープン型でも平米単価20万円程度で建築される学校もあります。私が見て、いいと思う学校は、内装に木材を上手く使っている学校です。床が無機質なビニールシートの建材より木材を活用した方が、オープンスペースも生きています。地元の木材等を活用されている学校の中にも、非常にいいものもあります。

オープンスペースについては、完全に壁をなくして作る学校等、本当にいろいろな形態があります。しかし、全く間仕切りのない学校は、多数ではないです。今は、非常に良い家具ができているものですから、間仕切り家具を上手く活用しながらオープンスペースを実現されている学校も増えています。その他に、可動間仕切りのもの、ただ可動間仕切りといってもすぐに動かせるかというものではないものですから、一度開けてしまえば当面は、そのまま使用するというような形態が多いようです。

最近建築される学校はオープンスペースを設けている学校が多いですが、中学校と小学校でも微妙に違います。中学校では、一つの集会室みたいな形でのオープンスペースを作っているケースが多いです。小学校になりますと、それぞれの廊下がすべてオープンスペースになって、例えば生活科の授業では、オープンスペースにいろいろな教材を並べて、授業で使用できる学校もあります。中学校では教科教室型も増えてきております。これは、そんなには多くはないですが、「これは良いです」と言ってくださる校長先生と「ちょっと活用が難しいです」と言われる先生と様々な感想をお聞きしました。

しかし、旧態依然の形体の学校よりは、何か工夫されている学校は活気があります。古い学校でも、補強や改修をするだけでなくて、その中でうまく多目的スペースを取り入れたりしてはどうかと思います。

耐震壁が撤去できず、改造がなかなか難しい学校もありますが、補強・改修をしながら不足部分については、増築で多目的室を整備する学校もでてきています。さらに今後は、家庭科室や音楽室等の特別教室と合わせてオープンスペースをどんどん開放して、地域との連携を深めていくことも大事かと思います。

そういう面を考慮したうえで、できるだけ多くの学校を見てください。設計事務所も、たくさんのノウハウを持っていますし、文教施設協会等の学校施設のデータバンク等も活用ください。

 

【会場質問者】

平米単価20万円以上というのは、建築標準単価が平米176,400円のものが平米20万円ぐらいでできるということですね。

 

【笠井補佐】

そうです。

 

【会場質問者】

 多良小学校の野中といいます。私が勤務している太良町ですが、今回、市町村合併のための枠組が議会で否決され、再度新たな枠組をきめる取り組みが行われています。太良町では今でも大規模改修があっていますが、ほとんど補助金を使っておらず、起債とかでやっている状態です。

町としては合併する前に、今の有利な状況で全部作ってしまおうと思い、行っているようです。しかし、これからもし合併する方向に向かうとしたら、今までの交付税あるいは、補助金の制度が使いにくくなるのではないかと思われます。例えば大きな市町村になったら学校1校あたりに回ってくる順番が遅くなって、改修の時期が遅れてくるのではないかと思います。

そこで問題なのですが、今から市町村合併をしていく中で、補助金あるいは交付税というものがどのようになっていくかを教えていただきたいと思います。

 

【笠井補佐】

合併特例債等の合併にあたっての地方債、交付税等の優遇措置については、総務省の所管となります。

今後、合併を積極的にすすめようという市町村も大変多いと思われます。

公立小中学校施設については、改築・補強事業等について相当の潜在需要があります。

我々がお願いしているのは、県全体の事業量をできるだけ平準化して欲しいということです。国の予算についても、倍になったり半分になったりするようなものではないので、事業量を平準化して欲しいということがあります。

15年度については、市町村が計画されている事業については、ほぼ対応できるかと思います。

今後は、耐力度調査や耐震診断の結果を考慮したうえで、優先順位を決めていくことになるかと思っています。補強や改築についても、市町村の負担があるわけですから、最終的には市町村全体の財政の中での判断ではないのかと思います。ですから合併することで不利ということもないけれども、最終的に市町村長さんが、学校整備に熱心に取り組んでいただけるかによって違ってきます。

東京都のある区では、区全体の60の学校全部で補強改修が終わっています。東京都区内でも、ほとんど学校整備を実施していない区とすべての学校で補強改修終わっている区があると聞いています。財政規模が同程度であっても、首長さんの決断で全く差が出るというのが現状です。

 

【会場質問者】

上峰中学校の御厨と申します。市町村の財政もかなり逼迫しており、学校建設や学校の改修が、なかなかできていない状況があります。昨今、民間活力の利用ということでPFI事業の学校建設をされているようですが、そのあたりの状況と補助関係について教えていただけないでしょうか。

 

※PFI(Private Finance Initiative)民間の資金と経営ノウハウ等を活用するやり方

 

【笠井補佐】

今年、調布市のPFI事業に対して国庫補助をしております。来年以降、滋賀県、三重県、千葉県等においていくつか計画をされております。PFIの中にもいくつかの形態がありますが、現在、設置者が買い取った時点で補助金を交付するというようなシステムになっております。

これは、BTO方式ですが、既存の補助事業と同じような形で補助金は支出できるようになっています。

複合施設であれば、例えば、社会体育プールの運営面での収益をもってPFI手法の活用が措置しやすいかと思います。しかし、学校だけですと、そこまでは難しいところがあります。複合施設等については、学校の補助対象面積について、市町村が買い取っていただいた時点で補助金は支出できますので、是非私どもの方にご相談ください。

 

【司会者】

それではこれで、質疑応答の時間を終わらせていただきます。