1 産業別の取り組み内容について

  「オンリーワン」のさが体験活動では、取り組む産業としてこれまでの第1次産業(農業、林業、水産業)、第2次産業(伝統工業等)に加え、平成19年度より第2次産業(現代工業)や第3次産業(観光業、商業等)を加えて、より住んでいる地域のよさを実感できるようになりました。
  それぞれの産業において、子どもたちは次のような体験活動をはじめとした学習を行っています。



一次産業
農 業
・農作物づくり(・米 ・野菜…タマネギ、アスパラガス、レンコン ・果物…梨、みかん、びわ)
・農作物を使った体験活動(豆腐づくり、郷土料理づくり、保存食づくり)
・農家の知恵や工夫(農作業の技術、先人の努力、農業についての考え方)
・農業についての理解
 (農作物のつくり方、農作物の種類、田んぼの果たす役割、流通経路、農作物の鮮度、米づくりの歴史、佐賀県の農業の特徴や移り変わり、農作物の保存方法)
林 業
・栽培活動(椎茸づくり、植樹)
・制作活動(森にあるものを使った置物づくり、炭焼き体験)
・林業体験(伐採見学、下草狩り見学)
・林業についての理解(森の役割、森の生き物、木の種類、地域の林業の歴史)
・林業に携わる方の知恵や工夫(生き方、木工作品制作の技術)
水産業
・水産業に関する体験活動(漁業体験、ひものづくり体験、郷土料理づくり、漁具づくり)
・水産業についての理解(有明海と玄界灘の違い、魚の鮮度、保存方法、漁の歴史)
・漁業に関わる方の知恵や工夫(生き方、漁業の技術、保存食づくりの技術)
・水産業に関わる技能(漁具づくり、ひものづくり、郷土料理づくり)

二次産業
伝統工業
・焼きものについての理解
(有田焼と唐津焼の違い、佐賀の焼きものの歴史、焼きものづくりの工程、世界とのつながり)
・焼きものづくり(手びねり、ろくろ体験、絵付け体験、野焼き体験、弥生式土器づくり、窯入れ)
・職人の知恵や工夫(職人の技、生き方、作品づくりへの思い)
・羊羹について(歴史調べ、づくり方の理解、羊羹づくり体験、職人の技見学)
・石工について(歴史調べ、石工体験、職人の技見学)
・鋳物について(反射炉の歴史について、鋳造・鋳型制作過程の理解、鋳造体験)
・そうめんづくりの歴史調べ、そうめんづくり
現代工業
・最先端のセラミックスを使った製品作り(食器、タオル 等)
・売薬の歴史調べ、最先端の薬づくり
・家具づくりの歴史調べ、最先端の木工作品づくり、木工品の開発
・環境を考えた製品作り




観光業
商業
・商店街調べ(商店街の価値、これまでの取組、歴史や特徴)
・商店街再生のためのアイデアの立案や実行(自然環境や歴史の活用 等)
・地域の観光資源の調査(歴史的価値、できるまでの経緯 等)
・地域の観光資源(地域の祭り、バルーンフェスタ等のイベント等)に関わる体験活動
・観光施設の職場体験(来客の案内、イベントの手伝い、施設の整備 等)
・観光のテーマやそれに基づいた観光プランの企画立案
・宣伝の方法についての企画立案


2 学校別の取り組み産業について

  「オンリーワン」のさが体験活動は、県内の全公立小・中学校で実施しています。小・中学校における取組産業の状況は、約60%の学校が「農業」を、約20%の学校が「窯業」を、約10%の学校が「水産業」を選択しています。また、1つの学校で複数の産業に取り組んでいる学校もあります。

  平成18年度取組の産業別状況     小学校173校、中学校93校
校 種 農 業 林 業 水産業 窯 業 地場産業
小学校 学校数 109 12 16 38 3
割合(%) 61.2 6.7 9.0 21.3 1.7
中学校 学校数 57 7 15 22 1
割合(%) 55.9 6.9 14.7 21.6 1.0
合 計 学校数 166 19 31 60 4
割合(%) 59.3 6.8 11.1 21.4 1.4


 平成19年度からは、第2次産業(現代工業)や第3次産業(観光業、商業等)を加えたことで、新しい産業に取り組む学校も少しずつ増えています。
 平成19年度取組の産業別状況          小学校172校、中学校94校
校 種 農 業 林 業 水産業 窯 業 地場産業 現代工業 観光業 商 業
小学校 学校数 110 9 15 35 3 2 4 2
割合(%) 61.1 5 8.3 19.4 1.6 1.1 2.2 1.1
中学校 学校数 52 6 16 22 2 0 7 0
割合(%) 49.5 5.7 15.2 20.9 1.9 0 6.6 0
合 計 学校数 162 15 31 57 5 2 11 2
割合(%) 56.8 5.2 10.8 20 1.7 0.7 3.8 0.7

3 学校の実践の紹介

  平成17年度、平成18年度に行われた実践の中から、4つの産業における実践を紹介します。



(1) 伊万里市立二里小学校(農業…養蚕)

  校庭をはじめ校区にある桑の木を使った「養蚕」に取り組んでいます。えさの確保から蚕のお世話まで、児童が中心になって活動に取り組んでいます。
  自分たちの育てた蚕のまゆから糸をとり、それを使って、佐賀の伝統工芸である「佐賀錦」づくり等に挑戦しています。この取組により子どもたちは、「地域の自然の豊かさ」や「佐賀錦という伝統工芸のすばらしさ」を実感することができています。
(2) 伊万里市立滝野中学校(農業…野菜づくり)

  小学校での農業体験を生かして、様々な作物づくりに取り組んでいます。その際、ただ栽培するのではなく「販売」という明確な目的を持ち、よく売れる作物の栽培方法や販売の仕方について調べたり、体験したりすることで、「生産」に加え「流通・販売」まで学習しています。生徒は農業体験をとおして、地域の方の技術や地域の自然のすばらしさを再認識することができています。
  また、自分たちが畑で育てた大豆や野菜を使って、味噌づくりや漬け物づくりなど保存食づくりにも挑戦し、地域の方 の知恵を学び、そのすばらしさを実感することもできています。
(3) 小城市立岩松小学校(地場産業…羊羹づくり)

  小城市の特産物である羊羹をとおして、地域のよさについて学習をしています。例えば、羊羹づくりが小城で盛んになったわけや羊羹づくりの歴史などを調べたり、専門家に習いながら羊羹づくりに取り組んだりしています。また、これらの活動をとおして学んだ地域のよさを、外国の方や保護者に紹介することで、さらに小城のよさの理解や思いを深めています。
  小学校での体験活動をとおして身に付けた情報収集の力や情報発信の力、また、体験活動をとおして深まったふるさとについてのよさの理解や思いを中学校での活動に生かしています。
(4) 唐津市立東唐津小学校(林業)

  校区内にある虹の松原をとおして地域のよさについて学習しています。
虹の松原は長い時間をかけて人の力で作りあげてきたものです。児童は、様々な虹の松原の果たす役割を学んでいく中で、地域の先人の地域や努力のすばらしさにも気付いていっています。 
  虹の松原についての調査活動や、虹の松原を守るための活動をとおして、改めて児童は、ふるさとのすばらしさを実感しています。
(5) 太良町立大浦中学校(水産業)

  大浦中学校では、小学校での水産業体験を生かした発展的な学習が行われています。
生徒は、漁業体験や有明海で捕れた魚を使った調理体験などの直接体験を行うことで、有明海の豊かさを実感しています。また、資料館の見学などをとおして、干拓や有明海についての調査研究を行うことで、ふるさとのよさについて多面的な理解を深めています。
  1年生でのこの体験活動を生かし、総合的な学習の時間を使って、2年生では職場体験による太良町の理解へ、 3年生では太良町の未来についてのレポート作成へとつなげています。



(1) 鳥栖市立鳥栖小学校(農業…お米)

 
学校内に学校田を作るとともに、農家の方の学習田でもお米を育て、専門家の育て方との比較を体験しました。
  種まきから収穫までの農業体験を通して、土作りや水の管理・病害虫の駆除などの苦労や米作りの工夫を学びました。代かきを丁寧にしないと田に水を張ることができないことや、水の管理の難しさ、稲の実を鳥から守るためにかかし作りをしたことなど、一つひとつの作業を丁寧にやっていかないとおいしい米ができないことを学びました。この体験を通して、農業の専門家の方への尊敬の気持ちが高まりました。
(2) 嬉野市立大野原中学校(農業…お茶)

 
嬉野の「茶業」にスポットをあて、茶摘み、製茶、茶の流通、茶園施肥等、その道のスペシャリストとともに、体験活動を行い、嬉野のよさについて学習をしています。
 この体験活動を通して、茶摘みや茶の剪定で機械を使うことができるようになったり、家庭にある器具を使ってお茶を製茶したりすることができるようになりました。これらの体験により茶業に従事する人々の努力を実感し、自分の住んでいる地域を誇りに思う気持ちが高まってきました。
(3) 有田町立有田中学校(地場産業…窯業)

  世界に誇る有田焼をとおして、有田のよさについて学習をしています。
焼き物づくりが有田で盛んになったわけや焼き物づくりの歴史などを調べたり、専門家に習いながら焼き物づくりに取り組んだりしています。
  その中で、伝統的な梱包方法について学び、有田焼が海外へ船積みされた伊万里津への道を実際に歩いたり、磁器皿の製作をしたりすることで、有田焼の素晴らしさとそれらを作り出した先人たち、そして伝統を受け継ぎさらに発展させている郷土の産業の素晴らしさを実感することができました。
(4) 唐津市立七山小学校(林業)

  県内でも珍しい七山の湿原を通して七山のよさについて学習しています。林業の作業工程を見学したり、林業について地域のゲストティーチャーに教えてもらったりすることで、「村の名人」を意識するようになりました。
  また、子どもたちがよく口にするしいたけを育てたり、ログハウスの廃材を使った木工作品を作ったりすることで、道具の使い方の基礎が身に付きました。県外の方に七山を紹介したパンフレットを渡す活動では、七山のよさを考えたり、返信のはがきを受け取ったりしたことで、七山を愛する心が深まりました。
(5) 小城市立芦刈小学校(水産業)

 
のり作りに携わる人の話を聞いたり、実際に漁の体験をしたりすることを通して、有明海のよさについて学習しています。
  のりづくりを中心とした芦刈町の漁業の仕事の様子や苦労、そこで働く人々の知恵など、生の声を聞いたり、実際にあんこう漁等の体験活動を重ねたりしました。そのため、有明海でとれる魚介類や漁具の使い方、海の特徴を学んだり、のりができるまでの大まかな流れを理解したりする事ができました。この学習を通して、有明海の環境を守っていこうという心情が高まり 、芦刈町を誇りに思う気持ちも高まりました。