○ 学習指導案    小学校第5学年 「 外国語活動 」


1 単元名 「大きな数」 (平成20年10月実施,34名)

授業実践者:宗  誠
ALT:Sarah Busche

2 単元とその指導について

  平成20年3月28日に小学校学習指導要領の改訂が告示され,平成23年度からは,小学校5・6年で週1コマ外国語活動を実施することになった。外国語活動においては,音声を中心に外国語に慣れ親しませる活動を通じて,言語や文化について体験的に理解を深めるとともに,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し,コミュニケーション能力の素地を養うことが目標とされている。
  そこで,本単元では,児童が比較的耳にすることが多い数に関する英語表現を使い,英語による指示や説明を一生懸命に聞こうとする態度を育てることを主なねらいとする。数を取り扱ったゲームを楽しませたり,川の長さや山の高さなどを調べさせたりする中で,最初は100までの数,そしてその後はthousand, millionなどの大きな数を使ってコミュニケーションの楽しさを味わわせる。その中で,英語の数え方では日本語と異なり3けたごとに数を区切って読むということにも気付かせたい。また,児童が普段の生活の中で耳にする「ワン,ツー,スリー…」などのカタカナ英語ではない英語独特の音声に慣れ親しませることもねらいの一つである。
  本学級の児童は,昨年度数時間の外国語活動を体験し,今年度から定期的に外国語活動に取り組み始めた。1学期に7時間,2学期に5時間の授業に取り組み,「あいさつ」,「色」,「形」,「動物」などをテーマとした活動を楽しんだ。授業では,「聞く」ということに重点を置き,「英語の指示が分かる」「指示や質問に様々な方法で反応する」という活動を中心に取り組んできた。ALTのサラ先生とは,昨年度初めて顔を合わせ,今年度は約半数の授業に入ってもらっている。サラ先生に対する緊張感や抵抗感はあまりないようで,気軽に声を掛ける姿が見られる。また,2学期からは教育センター所員がJTEとして授業に加わり,担任とのTTを行っている。多くの児童は,英語活動の経験が少ないため,英語のみの説明を理解したり,自分の考えを英語で表現したりということはほとんどできない。しかしながら,ALTやJTEが発する言語以外のメッセージ(ジェスチャー,絵カードなど)をキャッチし,言っていることを分かろうと努力をする児童は多い。その反面,授業中の集中力が続かず,英語を聞き続けることが難しい児童も数名いる。ここに児童・生徒の実態について記述してください
  以上のような単元のねらいと児童の実態を踏まえ,次のような手立てを取っていきたい。
  第1〜2時は,100までの数を使ったゲームを楽しませる中で,20以上の数の表現に親しませる。その際,thirteenとthirtyの区別ができることなど聞いて分かるということを目標にし,児童に過度の緊張と負担を強いることがないよう配慮したい。ゲームについては,今年度,文部科学省から試作版が出された英語ノートや教育センターから出された「外国語活動指導の手引き」にあるものを中心に取り入れ,児童の集中力が途切れないように,テンポよく進めていくようにする。また,ローマ数字の読み方や表記の仕方を提示し,知的好奇心を刺激しながら大きな数の言い方に触れさせたい。
  第3時は,前時までに行ったゲームをウォーミングアップとして行った後,教師が提示する様々な数が何を表しているのかを考えさせる中で3〜4けたの数の言い方に触れさせる。それから,日本の川の長さや山の高さなどを比べさせる中で,英語を聞いて数字を書いたり,教師のまねをして数字の言い方が自然に口から出てきたりするような活動に取り組ませる。その際,地図帳を使って長さ,高さを実際に調べさせ,教師側の質問に英語で答えたくなるようなコミュニケーションの場面をできるだけ取り入れたい。

3 単元の目標

  いろいろな物の長さや高さなどを尋ねたり答えたりする活動を通して,数を表す表現に慣れ親しませるとともに,英語でやり取りする楽しさを味わわせる。また,大きな数のけたの区切りが日本語と英語で異なることに気付かせる。

4 単元の計画 (全4時間)

  • 1 ゲームをしよう・・・・2時間
  • 2 長さ調べをしよう・・・・1時間(本時)
  • 3 比べてみよう・・・・1時間

5 本時の学習指導 (3/4) 場所:5年1組教室 時間:2校時

 (1) 目標

○教師の指示に従って白地図に色を塗ったり,長さを調べて答えたりすることができる。(コミュニケーションの技能・表現)

 (2) 準備

○教師

ビンゴシート,児童用白地図ワークシート,掲示用白地図

○児童

地図帳,色鉛筆

 (3) 展開

児童の学習活動
教師上の留意点と主な英語表現 (※評価)
  児童の主な活動 JTEの指導・支援 ALTの指導・支援
あいさつをする。
○児童のモデルとなって,ALTとあいさつをする。 ○児童とあいさつをし,簡単なやり取りをする。
"Good morning, everyone."
"How are you today? Good? Fine?"
How manyビンゴゲームをする。
○5×5のビンゴシートに1から25までの数字を書いたものを用意させる。
○最初は単に数字を言うだけにし,次第に数に関する質問に移る。
○ALTの質問が分かるようにヒントを与える。児童が答えた数字をマークさせる。
○数に関する質問をする。
"How many pencils do you have in your pencil case?"
"How many boys are there in this class?"
"How old are you?"
"When is your birthday?"
"What is your lucky number?"
"What time is it now?"
ローマ数字クイズをする。
○ローマ数字でX=10,L=50,C=100であることを示し,ローマ数字で表した3けたの数について考えさせる。 What number is this?(CXXV=125,CCLXXII=272)
How do you write 385 in Roman numerals?(385=CCCLXXXV)
提示された大きな数(3〜4けた)の読み方を知るとともに,ヒントを聞いて何を表す数字か考える。
○3〜4けたの様々な数字を提示しながら,何を表す数字か考えさせる。
193(か国)…世界の国の数
365(日)…1年の日数
427(人)…春日北小の児童数
3,776(m)…富士山の高さ
8,848(m)…エベレスト山の高さ
○カンマの部分がthousandを表すことに触れる。
"What's this number?"
"Can you guess?"
"I'll give you some hints."
"Yes, it's the number of the students of Kasugakita-E.S."
○地図上の国旗の数を数えたり,ジェスチャーを交えたりと,視覚的なヒントを多く与えながらやりとりをする。
提示された大きな数(3〜4けた)の読み方を知るとともに,ヒントを聞いて何を表す数字か考える。


○ワークシートを配布し,ALTの質問に対する答えを地図帳で調べることを伝える。
○ALTの指示や質問を理解しやすいように,視覚的なヒントを提示したり,児童のサポートをしたりする。
○児童に数字を示しながら,言える部分は一緒に言うように促す。
※指示に従って色を塗ったり,質問に答えたりしているか。(技能・表現)
"Please color Saga-ken red."
"Where is Mt. Fuji?"
"How tall is Mt. Fuji?"
"What is the longest river in Japan?"
"Please color Shinano-river blue."
"How long is Shinano-river?"
"What is the second longest river in Japan?"
"How long is it?"
"What is the highest mountain in Kyusyu?"
"Where is Mt. Miyanoura-dake?"
終わりのあいさつをする。 ○今日の活動の様子をほめ,楽しい雰囲気のままで終わる。 "All of you did very good job."
"Good-bye, everyone." "See you!"
※ 資料等
指導案

6 児童・生徒の反応

  • ○How manyビンゴゲームの際には,ALTやJTEから出される数に関する質問に一生懸命答えようとする姿が見られました。単に数字を言うだけではなく,やり取りを通して数をマークするように仕組んだことにより,数字を使ったコミュニケーションが楽しめたようです。
  • ○地図帳を使って川の長さや山の高さを調べる活動では,社会科が得意な子どもがやる気を出し,活躍する姿が見られました。

7 授業を終えて

  • ○高学年の授業では,単なるクイズやゲームだけでなく,活動の中に知的好奇心を刺激するようなものを入れ,英語でのやり取りに必然性をもたせながら進めて行くことがポイントです。
  • ○今回は社会科で学習した日本地理の題材を利用して大きな数を使った授業を計画しました。社会科に限らず,他教科での学習内容をコミュニケーションの題材として利用することは児童の興味をそそるという点で効果的だと思われます。