○ 学習指導案    小学校第6学年 「 社会科 」


1  単元名 「明治維新から新しい国づくりへ」 (平成18年10月実施,29名)
        〜明治維新で,社会はよくなったのか?!〜

授業実践者:竹本 浩樹 

2 単元とその指導について

本単元では,江戸時代末から明治時代初期において,日本が新たな国へとつくり変えられていく様子を調べ,社会の変革について考えていく。特に,明治維新の中でつくられた主な制度・政策に着目し,当時の日本の状況を踏まえながら,政府の立場と国民の立場から,改革の効果について検討する。
  このことにより,社会的事象の意義について理解を深めるとともに,社会的事象を相互に関連付けて考える力つまり社会的な思考力を育成することをねらいとする。
 

本学級の児童は,5年時までに討論型の社会科授業を経験してきていない。6年になり,「大仏づくり」及び「元寇」の単元の学習において,討論型の授業を経験している。ただし,これも本格的な討論が中心の授業というより,むしろブレーン・ストーミング的な話し合い活動を主とするものであった。
  したがって,資料(事実)と自分の考えを結び付けて説得力ある主張をしようとする態度や能力は育っておらず,お互いの主張や反論をぶつけあうようなタイプの討論を行うレベルに達していないと言える。
 

  指導に当たっては,まず,開国の背景を理解させる。そのために,ペリー来航時の国内の様子や幕府の反応,来航の目的について調べさせる。また,アメリカをはじめとする欧米列強の圧力によって半ば強制的に開国させられたことや不平等条約の締結の裏には,絶対的な国力の違いがあったことに気付かせる。
  次に,明治維新の概要について理解させる。ここでは,開国や不平等条約締結の背景と関連付けながらとらえさせていく。つまり,明治政府が富国強兵・殖産興業の目標を掲げ,欧米列強に負けない強い国づくりを目指した理由について考えさせる。
このようなことを踏まえ,明治維新という大改革は,新たな社会をつくる上でどのような効果があったのかを検討させ,社会形成についての自分なりの考えを構築させたい。
  児童の実態に応じた思考力を育成する手立てとして,個人の思考活動を促進させるために,討論の場を2回設定する。そして,その都度,個人で主張と理由を文章記述させる。その際,事実に基づいた主張を行うことや他者の主張や批判を踏まえることを意識させるようにする。また,「頭がよくなる」パワーアップカード,『頭のパワーアップ完了』カードを活用し,3回の思考活動を経て自分の思考がどのように変化したのかをふり返らせることで,思考に関するメタ認知をもたせる手立てとする。
 3 単元の目標 
(1) 総括目標
明治政府が行った主な改革について調べながら「富国強兵」の内容を理解し,その効果について,ミニ討論を行い,中央集権の近代国家と国民の生活に関する主張を作成することができる。
(2) 理解目標
明治政府は,欧米列強に負けない強い国をつくるため,富国強兵の理念のもとに改革を進めていったことが分かる。
解放令によって,四民平等の世の中になったが差別はなくならず,政策を進める上で必要な新たな身分制度がつくられたことを知る。
富国強兵,殖産興業を目的としてつくられた徴兵令や地租改正という制度は,人々にとって負担が大きく,政府に対する不満が高まったことを知る。
自由民権運動が高まり,明治政府は大日本帝国憲法を発布し,第1回帝国議会を開いて立憲政治を確立していったことを知る。
 4 単元の計画 (全7時間) 
  教師の発問等 教師が与える資料 学習者の発言及び学習活動


開国と大政奉還
◎ どのようにして開国が行われたのか。

○ 開国のきっかけとなったのは,どのようなことか。

○ 来航の目的は何か。



○ 幕府の反応はどうであったか。









○ 世の中の人々の様子はどうであったか。


○ 条約を結んだ後の幕府の政治はどのように変化したか。





・ およそ200年もの長い間,鎖国によって江戸幕府の政治は安泰であったが,ペリーの来航により時代は大きな転換期を迎えた。アメリカを はじめとする欧米列強の圧力によって強制的に開国させられた上に,条約を結ばされた。このこ とにより,幕府に対する反感は高まり,ついに江戸幕府は政権を朝廷に奉還することになった。







フィルモア大統領の手紙






























 およそ200年もの間続いた鎖国から,開国へと大きく転換するきっかけとなったペリー来航とその目的を理解し,幕府の反応や国内の様子を知る。
・ アメリカの提督ペリーが黒船で来航し,開国を要求したことである。

・ 友好関係を結び,貿易を行い,アメリカの捕鯨船の石炭・水・食料の補給が目的だった。


・ はじめは「外国との交渉は長崎で行う」と答えたがペリーに拒否され即答しなかった。
・ 幕府はしきたりを破って朝廷に報告し,大名たちの意見も聞いた。
・ 海岸の防備を強化した。
・ 翌年,しかたなく神奈川で和親条約を結び,1858年には通商条約を結んだ。
・ イギリス,フランス,オランダなどヨーロッパの列強諸国とも同様の条約を結ばされた。

・ 初めて見る軍艦に驚き,慌てた。
・ 動揺している様子を川柳や狂歌に表した。
・ 幕府の政治に反感をもつ者が多くなっていった。

・ 長州藩や薩摩藩,土佐藩などが同盟を結び,天皇中心の政府をつくろうと幕府に対抗した。
・ 1867年,15代将軍徳川慶喜は政権を朝廷に返した。
・ 木戸孝允や大久保利通,西郷隆盛などが政治の中心となって活躍した。













開国と不平等条約
◎ 幕府が結んだ不平等条約の内 容は,どのようなものであったか。

○ どのような点が不平等なのか。






○ アメリカの他にどのような国と同様の条約を結んだのか。


○ なぜ,そのような条約を結んだのか。




○ 不平等条約の影響を受けた出来事があったか。

・ 幕府は,欧米列強の軍事力に脅威を感じ,修好通商条約のような日本にとって不利な内容の条約を結ばざるを得なかった。そしてそれ以後,条約が改正されるまで,不平等条約の悪影響を受けることになった。




日米修好通商条約の内容














ノルマントン号事件

 不平等条約が結ばれた背景と内容を理解し,日本が悪影響を受けていたことを知る。

・ 日米修好通商条約では,輸入品にかける関税を日本だけで決めることができない。
(関税自主権がない。)
・ 日米修好通商条約では,日本で罪を犯した外国人を日本の法律で裁けない。
(治外法権を認める。)

・ アメリカだけでなく,イギリス,フランス,オランダ,ロシア,その他多くの ヨーロッパ諸国との間で同じような内容の条約を結んだ。

・ 幕府(日本)にとって,欧米諸国の力は脅威であり提示された条件を受け入れないと武力行使されると困るから。
・ 日本が弱い国だから,言いたいことも言えなかった。

・ 1886年に起こったノルマントン号事件で,罪を犯したイギリス人の船長を日本の法律で裁けず,無罪となった。


開国の影響
◎ 「開国したことは,日本にとってよかったのか,よくなかったのか」について考えよう。

○ 自分の立場を決定し,資料を基にその理由を付けて考えを書きなさい。







○ 外国からの圧力に対抗することができたのか。

○ 不安定な国内情勢にどう対応することができたのか。

○ 肯定,否定,双方の考えを踏まえ自分の主張文に修正を加えなさい。





開国を肯定する立場で使う資料
開国を否定する立場で使う資料

 ペリー来航から開国に至るまでの経緯を踏まえ,開国にかかわる複数の社会的事象を関連付けて開国の影響を考える。

・ 西洋の技術や文化を取り入れることは, 日本の経済や産業の発展につながる。
・ 開国の要求を受け入れなければ,欧米列強に攻撃されたはずである。 
・ 国力の差を見せつけられ,強制的に不平等な内容の通商条約を結ばされた。
・ ノルマントン号事件を引き起こすきっかけをつくった。

・ 軍艦や大砲などの武器をもつ欧米諸国には,武力では到底かなうはずがなかった。

・ 長州藩や薩摩藩,土佐藩などのように幕府の政治に反感をもつ者が多く,国がまとまっていなかった。

(例)
・ 日本と欧米諸国の国力の差を考えると,開国の要求を拒否することはできなかった。しかし,通商条約のような不平等な内容の条約は結ぶべきではなかった。欧米諸国並みの強い国づくりを目指さなければならない。


明治維新と富国強兵
◎ 明治新政府はどのような改革を行ったのか。

○ 明治維新とは何か。




○ 主な改革として,どんなものがあるか,教科書や資料集を使って調べなさい。また,それぞれの改革について,社会はどう変わったのかという見方でよかった点と悪かった点を書きなさい。



































○ 富国強兵とはどういうことか。


○ なぜ,このような大改革が必要だったのか。
・ 政府は,半ば強制的な開国と不平等条約を結ばされたことの原因が欧米諸国との国力の差にあるとし,富国強兵を目標に掲げ,様々な改革に取り組んだ。


























徴兵制度


地租改正と国の収入
地租改正と反対運動
富岡製糸場

就学児童の推移のグラフ



欧化政策とその実情










 日本が豊かで強い国づくりを目指して行った改革の内容を知る。

・ 江戸時代の政治や社会のしくみ,世の中のようすを大きく変えるために行われたいろいろな改革をまとめて,明治維新と呼ぶ。
・ 五箇条の御誓文

 ○ 将軍の独裁政治から,民主的な政治へと一歩前進した。
 × 政府官僚による中央集権政治であり,一般国民が政治に参加する機会はほとんどなかった。
・ 廃藩置県
 ○ 土地も人民も朝廷に返すことで,国を一つにまとめやすくなった。
 × 政府の役人が知事となって地方政治を行い,国の方針ばかりが反映された。
・ 解放令
 ○ 江戸時代の身分制度を廃止し,四民平等の世の中になった。
 × 皇族,華族,士族,さらに平民という新たな身分がつくられた。また,同じ身分内での差別もなくならなかった。
・ 徴兵令
 ○ 20歳になった男子は軍隊に入ることを義務づけたので,人数が増えて強くなった。
 × 個人の事情は考慮されず,強制的に軍隊に入らなければならなかった。
・ 地租改正
 ○ 地租を現金で納めさせたので,国の収入を安定させることができた。
 × 税率が一律3%に定められたので,農民の負担を減らすことにはつながらなかった。
・ 官営工場
 ○ 税金をもとにして官営工場をつくったり,国が鉱山を経営したりして,工業が盛んになっていった。
 × 士族の娘や身元のしっかりした者だけを選んで指導者養成した。
・ 学制の発布
 ○ 全国の町や村に小学校をつくり,国民が平等に教育を受けられるようにした。
 × 授業料が高い,働き手が減る等の理由で学校に行けない子どもが多くいた。
・ 欧化政策
 ○ 欧米の進んだ文化を積極的に取り入れ,便利な世の中になっていった。
 × 開化したのは都市部だけで,地方の都市はほとんど変化がなかった。

・ 近代工業を盛んにして国を豊かにし,強い軍隊をつくることである。

・ 政府として,欧米の国々に早く追いつくためには,早急な改革が必要だった。




明治維新の影響(その1)
◎ 「明治維新によって,社会は よくなったのか」について考えよう。 

○ 明治政府は,どのような国づくりを目指していたのか。

○ そのために行われた主な改革として,どのようなものが挙げられるか。



○ 自分の立場を決定し,資料を基にその理由を付けて考えを書きなさい。
 (個人で考えをもつ場)




























徴兵令の資料

地租改正の資料
学制の資料
官営工場の資料






自由民権運動の資料

 明治維新で行われた改革について,その効果を検討・評価し,社会のあり方について考える。

・ 欧米諸国に負けないような「豊かで強い国」づくりを目指していた。

・ 徴兵令
・ 地租改正
・ 学制
・ 官営工場の建設

○ 徴兵令を出し,20歳以上の男子に3年間の兵役を課すことにしたので強い軍隊をつくることができた。
○ 地租改正を行い,国の収入が安定した。
○ 学制が定められ,欧米諸国のように,国民が平等に教育を受けられるようになった。
○ 国が経営する官営工場を建て,外国の進んだ技術を取り入れた。その結果,工業の発展につながっていった。

× 徴兵令によって,一家の働き手が減ることになった。
× 人々は税の負担に苦しみ,地租改正反対一揆も起こった。
× 貧しい家庭も多く,授業料が高い,働き手が減るなどの理由で,学校に行かせない家もあった。 
× 政府に対して不満をもつ人々が板垣や西郷を支持して,自由民権運動が高まっていった。



・第

明治維新の影響(その2)
◎ 「明治維新によって,社会は よくなったのか」について考えよう。

○ グループでミニ討論会を開き,「明治維新によって,社会はよくなったのか」について話し合いなさい。肯定側はプラス効果の大きさを主張し,否定側はマイナス効果の大きさを主張しなさい。








○ 同じ立場の主張,異なる立場の主張を聞いた上で,今,自分はどのように考えるのか,書きなさい。










前時の学習で使った資料

前時の学習で使った資料






 明治維新で行われた改革について,その効果を検討・評価し,社会のあり方について考える。







<肯定側の主張の趣旨>
 「富国強兵」のためには多少の犠牲は仕方がない。今は,一致団結する時である。

<否定側の主張の趣旨>
 「富国強兵」の名の下に,国民の負担を考慮に入れない政府のやり方はよくない。
 
・ 徴兵令によって,働き手を取られた家庭は生活が苦しくなってしまったかもしれないが,当時の日本は強い国になることが第一だった。だから,徴兵令はやむを得なかったし,効果はあったと思う。






◎ 今度は学級全体で討論会を開きさらに深く考えていくことにしよう。

・ グループでのミニ討論会で出た主張を集約しながら板書しておき,内容を確認させる。

○ 否定側の主張に対して,肯定側は反論しなさい。








○ 肯定側の主張に対して,否定側は反論しなさい。





・ 肯定側は政府寄りの立場,否定側は国民寄りの立場で,社会というものをとらえて考えていると言える。

○ それぞれの立場からの主張や 反論を聞いた上で,今,自分はどのように考えるのか書きなさい。





◎ 2回の討論を経て,自分の考えがどのように変わったのか,ふり返って書こう。
 






・ 欧米諸国に負けないような強い国をつくるためには,徴兵令は必要だった。
・ 不平等条約をなくすためには,日本の強さを欧米諸国に認めてもらう必要があった。
・ 豊かな国をつくるためには,国の収入を安定させる必要があった。地租改正は有効な方法だった。
・ 学制を発布して学校をつくり,国民に広く教育を受けさせることで,将来的に欧米諸国に追いつくことができると考えた。

・ 徴兵令によって,働き手を国に取られてしまい,生活が苦しくなった。
・ 地租改正によって,人々は税の負担に苦しみ,各地で一揆を起こした。
・ 子どもも一家の重要な働き手だったので,学制による教育の義務化は負担になった。





(例)
・ 初めは,明治維新によって日本が強くて豊かな国になることができたので,社会はよくなったと考えていた。しかし,地租改正によって人々が苦しんでいたことや,学制が発布されても学校に行けない子どもも多くいたことも分かった。改革を行っていくときに,国民の生活のことも考えなければならないと思う。

(例)
・ 友達の考えを聞いて,自分の考えが足りない部分に付け加えることができた。
・ 2つのことをつなげて考えることができた。 


議会政治の始まり
◎ 自由民権運動の前と後で,社会はどう変わったのか?!

○ 自由民権運動はどのようにして始まったのか。




○ 運動の目的は何か。



○ 運動の結果,政治はどのように変わったのか。



・ 自由民権運動の高まりに押され,ついに政府は国会開設を約束した。それを受けて,大日本帝国憲法をつくり,総選挙を行い帝国議会を開いた。このようにして,アジアの国々に先駆けて憲法に基づく議会政治を確立していった。




自由民権運動の広がりの地図


民選議院設立の建白書

 自由民権運動の目的を理解し,国会開設や大日本帝国憲法制定・発布につながったことを知る。

・ 板垣退助,西郷隆盛らを中心に,政府に不満をもつ人々や新しい考えをもつ人々が板垣らを支持して,自由民権運動が始まった。
・ 全国各地で自由民権を訴える人々と政府の衝突が起こった。

・ 国民が選んだ議員による議院をつくり,より多くの人々が,政治に参加できるようにしようということである。

・ 国会を開くことを政府が約束した。
・ 国会開設に備えて,政党が組織された。
・ 大日本帝国憲法が制定・発布された。
・ 衆議院議員の総選挙が行われ,その後第一回帝国議会が開かれた。

5 本時の学習指導 (6/7) 場所:6年2組 時間:2校時

 (1) 目標

    明治維新の効果について,肯定・否定いずれかの立場で討論に参加し,社会の在り方について
    考えることができる。

 (2) 展開

児童・生徒の学習活動
教師の指導・支援(【評価】)
明治維新によって,社会はよくなったのか?!
ミニ討論会パート2を開く。
<全体>


 自分の立場を明確にし,ワークシートの記述 を基に,自分の考えを述べるように伝える。
 ミニ討論会の目的を,自分の主張をはっきり述べること,他者の主張を聞いて質問や意見を述べることの2点とする。
  ・ 肯定側が主張を行う。
・ 否定側が主張を行う。





 明治維新で行われた政策について「プラス効果の重要性,マイナス効果の深刻性」という主張の吟味・検討の視点を与えておく。
 ミニ討論会の実態に応じて,各主張が事実を示す資料に基づいているかという視点からも,主張の吟味・検討を行わせたい。

※ 理由を付けて,自分の考えを述べることができたか。【「頭がよくなる」パワーアップカード,発言記録・観察】
2  頭の「充電タイム」で,相手側の主張に対する反論を考える。





 プラス効果,マイナス効果の発生の事実を確認し,その大小を比較させるようにする。
 一つの政策にも,相対する二つの立場とそれに伴う考えが常に存在することを意識させる。
否定側から肯定側への反論を行う。

 同じような考えの者には,挙手により,同調の意思表示をさせる。
・ 徴兵令によって,働き手を国 に取られてしまい,生活が苦しくなった。
・ 地租改正によって,人々は税の負担に苦しみ各地で一揆を起こした。
・ 子どもも一家の重要な働き手だったので,学制による教育の義務化は負担になった。












肯定側から否定側への反論を行う。











それぞれの立場の主張の観点を整理する。


 同じような考えの者には,挙手により,同調の意思表示をさせる。
・ 欧米諸国に負けないような強い国をつくるためには,徴兵令は必要だった。
・ 不平等条約をなくすためには,日本の強さを欧米諸国に認めてもらう必要があった。
・ 豊かな国をつくるためには,国の収入を安定させる必要があった。地租改正は有効な方法だった。
・ 学制を発布して学校をつくり,国民に広く教育を受けさせることで,将来的に欧米諸国に追いつくことができると考えた。
(肯定側)
・ 富国強兵
・ 外国に負けない国づくり
・ 国全体の利益
(否定側)
・ 人々(平民)の苦しみ
・ 一部の人による政治

※ 異なる立場の主張を踏まえながら,自分の考えを述べることができたか。【「頭がよくなる」パワーアップカード,発言記録・観察】
学級全体でのミニ討論会を経た段階の,自分の考えを学習カードに書く。
<個人>

 グループ討論での吟味・検討を踏まえて,主張の補強や修正を行わせる。その際,理由を具体的に書かせるようにする。
(例)
 初めは,明治維新によって日本が強くて豊かな国になることができたので,社会はよくなったと考えていた。しかし,地租改正によって人々が苦しんでいたことや,学制が発布されても学校に行けない子どもも多くいたことが分かった。改革を行っていくときに,国民の生活のことも考えていかなければならないと思う。

※ 自分と同じ立場,異なる立場の考えを踏まえ明治維新と国づくりに関する自分の主張をもつことができたか。
 複数の社会的事象を関連付けて考えることができたか。【「頭がよくなる」パワーアップカード】
自己の思考活動をふり返る。
<個人>


 『頭のパワーアップ完了』カードを使って,思考の高まりや深まりに気付かせ,思考することのよさを意識付ける。
(例)
 友達の考えを聞いて,自分の考えが足りない部分に付け加えることができた。
 2つのことをつなげて考えることができた。
※ 自分の考えの変化に気付き,思考活動に関する記述ができたか。【『頭のパワーアップ完了』カード】
※ 資料等
指導案【一太郎】 指導案【PDF】 学習カード1【一太郎】    
学習カード1【PDF】 学習プリント2【WORD】 学習プリント2【PDF】     

6 児童・生徒の反応

  • ○複数回のミニ討論を通して,事実を基にして考えることの大切さ,社会的事象について同じ尺度で検討することのよさ,などを感じているようであった。
  • ○一枚のワークシートに自分なりの考えを3回書き込んでいくことで,話し合い活動前後での自分の考えの変容(成長)に気付くことができた子どもが多かった。

7 授業を終えて

  • ○まず,自分一人の考えを書く。次に,グループの友達と意見交換した後,それを踏まえて考えを書く。それから,学級全体でミニ討論会を行い,双方の主張や反論を吟味・検討して,自分の考えを書く。このような三段階の「考える」場を経て,子どもたちの社会的な思考力は高まっていったようである。
  • ○明治維新の影響について,肯定派・否定派に分かれて討論することにより,当時の時代背景と政策の内容及びその目的,社会に及ぼした影響を関連付けて考えることができた。このことにより,社会的事象の理解が深まり,社会のあり方についても子どもなりに考えることができた。
  • ○討論型の授業にまだ慣れていない子どもたちが,「自分なりの考えをもつ」「考えを深める・高める」ためには,教師はどのような授業をつくり,どのような手立てを取っていけばよいのか。『討論型の授業は難しい』というイメージを払拭できるような,できるだけ簡易な形の授業モデルを提案することはできないか。このような意識で授業実践に取り組んだ。
    これからも,子どもの社会的な思考力を育成する討論型の授業を継続して行っていきたい。