トップ > 相談・支援 > 適応指導教室「しいの木」 > パナソニック教育財団 研究助成事業
 
パナソニック教育財団 第37回実践研究助成 

  Ⅰ 心のエネルギー  
   1. 心のエネルギーとは   
     この「心のエネルギー」については、『子どもを生かす教育相談』(佐賀県教育センター編著、1985年)において、「登校拒否のパターンと各期の援助の基本」としてまとめられていた内容を、平成15年に現在の社会情勢に応じたものに改訂(研究課題「保健室・教育相談室登校の子どもの教室復帰を目指して」)し、さらにそれを整理、解説したものである。   
      この「心のエネルギー」 は、「生活を送るための楽しみ、喜び、安心感、満足感、充実感」と考える。そして、この「心のエネルギー」は、自分と関係のある人とのさまざまな活動の中で感じ取っている(図1)。そして、その活動を通して、生活を送るための意欲や自信となる原動力を自分の中に蓄えることができ、それを活用している。
 さらに、この「心のエネルギー」は、「友達エネルギー」、「学習エネルギー」、「家庭エネルギー」、「調節エネルギー」に分類される。そこで、次項において、詳しく説明をする。

 
図1 心のエネルギーの概念図 
 
       
   2.  友達エネルギーとは  
      友達や周りの人とよりよくかかわる力と考える。これは、自分がかかわる人に対して、自分の思いを分かりやすく伝えてみたり、または、相手の思いを受け取ってみたり、その思いを共有し合ったりして、お互いを理解し合ったりする時に必要となる力である(図2)。この力を発揮することで、集団の中の周りの人と一緒に居ることが楽しかったり、その集団に対する帰属感や有用感を感じたりして、とても安心できる場となり得ると思われる。よく耳にする言葉としては、「社会性」と似ていると考える。  
     
図2 友達エネルギー
 
       
   3.  学習エネルギーとは  
      学びたいことを取り入れ、蓄えたり、また、蓄えたことをいろいろな場で活用したりする力と考えられる(図3)。これは、さまざまな情報を正確に取り入れ、理解し、その情報が何であるのか、どう活用できるのかを判断することが必要となる。そして、身に付けたものを適切に、時には、応用して活用することが求められる。さらには、相手に伝えたり、表現したりしたことに対して、よい評価を得られることで達成感や充実感、成就感を感じることができ、次への意欲にもつながっていくと思われる。端的にいうと、「学力」と考えることもできる。  
     
図3 学習エネルギー
 
       
   4. 家庭エネルギーとは  
      これまで生きてきた生活の中で最も長く、安心して過ごしてきた家庭から出かけ、外の世界で「友達エネルギー」や「学習エネルギー」を蓄え、再び安心できる家へ戻ってくる力と考えられる(図4)。このような家庭では、両親や家族から愛情を十分に受け、守られながら居心地よく過ごすことができており、それらを実感しながら家庭生活を送っていると考える。そして、自分自身と家族の心と体の健康を感じながら、家族の一員としての存在意識も高まっていると思われる。  
     
図4 家庭エネルギー
 
       
   5. 調節エネルギーとは  
      「調節エネルギー」は、これまで述べてきたそれぞれのエネルギーの蓄えの状況を判断したり、補い合ったりする力と考えられる(図5)。今の自分の心の状態(各エネルギーの貯蓄量)を把握し、どのエネルギーの調子がいいのか、また、どのエネルギーの調子が悪いのかを見極め、補充をしたり、他のエネルギーを増やしたりなどの計画、実行を行う働きを行っていると思われる。よく耳にする言葉では、自己の心の状態を「メタ認知」することと考える。  
     
図5  調節エネルギー
 
       
  心のエネルギーのよい状態と悪い状態   
     児童生徒は、上記の4つのエネルギーを自分の中に蓄えながら、それらを活動の原動力として日々の生活を豊かに送っていると考えられる。そして、よい状態のときには、あるエネルギーが低下しても、それを察し、自己回復できる状態であると思われる(図6)。
 例えば、中間テストを終えたある中学生で考えてみる。夕食時に母親から、「この前の中間テストの点数が悪かったじゃないの、ゲームばっかりやっているからでしょ、しばらくはゲームは取り上げます。」と言われた。本人としては、とりあえず自分なりにはがんばってはみたものの十分な点数が取れなかったことを母親に再認識させられ、それを言った母親を責め、学習エネルギーも家庭エネルギーも減退してしまうことがある。しかし、家庭を離れると、学校には気の合う仲間がいて、楽しく部活動や休み時間を過ごすことで、いつの間にか、母親の愚痴も忘れ、家庭エネルギーも回復させ、「次のテストはがんばろうかな」という「学習エネルギー」も高まっていくことがある。
ただ、悪い状態においては、減ってしまったエネルギーを自分で製造、貯蔵できずに、次々にエネルギーが低下し、エネルギーの低い状態が続いてしまうことがある。そして、他のエネルギーからも補い合えなければ、心のエネルギー全体のバランスが悪くなったり、あるいはエンプティ状態になったりしてしまい、何に対しても活動の意欲がわかなくなってくると考えられる。
 
     
図6 心のエネルギーの状態
 
     
■このページに関するお問い合わせは、生徒指導担当までお願いします。(0952-62-5211【代表電話】)
Copyright(C)2012 SAGA Prefectural Education Center All Rights Reserved.