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パナソニック教育財団 第37回実践研究助成 

  Ⅱ 不登校の現状と要因  
  1.  不登校児童生徒数の推移と不登校児童生徒の本教育センター利用状況  
     文部科学省初等中等教育局児童生徒課が公開した、平成22年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、小・中学校の不登校児童生徒数(国公私立小・中学校)は約12万人で、前年度(約12万2千人)より約3千人減少し、不登校児童生徒の割合は1.13%(前年度1.15%)であった。小・中学生別に割合を見ると、小学生は0.3%(311人に1人)、中学生は2.7%(37人に1人)で、小学生では過去3年間ほぼ横ばい、中学生では3年連続で微減となっている。不登校児童生徒の人数は学年が上がるにつれ増加傾向にあり、小学1年で1,076人であったものが、小学6年では7,433人、中学1年では約3倍の22,052人と大幅に増加し、中学3年では40,318人とさらに増加している傾向にある。
 本県における数値を見てみると、小・中学校の不登校児童生徒数(国公私立小・中学校)は、816人(小学校:118人、中学校:698人)で、昨年度の839人と比較すると、わずかながら減少傾向にある。しかし、全国的な傾向と同様に、本県においても、中学1年でその数が急増しており、中学校における不登校生徒数を1学校あたりに考えてみると、約7.2人が在籍していることになる。
 また、本教育センターの平成22年度の教育相談統計においては、100件あまりの来所相談があり、そのうち、不登校を主訴とする相談件数が4割を超えており、多くを中学生が占めていた。このように来所相談に至ったケースでは、相談面接において、面接担当者と良好な関係性を築くことができ、月1回程度の短い時間ではあるが、家庭以外の場所で過ごすことができるようになっている。また、学校適応指導教室「しいの木」(以下「しいの木」)を利用する児童生徒もおり、毎年20名程度が「しいの木」で日中を過ごすことができるようになっている。「しいの木」では、専任のスタッフが常駐し、一人一人の状態を把握しながら、温かなかかわりを心掛けており、日に日に元気を取り戻し、充実した生活を送れるようになっている。しかし、その後、中学校生活を終えるまでに完全に学校復帰する生徒は極めて少ない状況である(図1)。これは、不登校児童生徒が抱える課題が根深く、その解決が容易ではないことをうかがわせている。中でも、「対人関係」や「学習」については、学校生活を送る上では非常に重要な要素であり、不登校児童生徒が抱えるそれらの苦手さへの支援が学校復帰への自信と意欲につながっていくと考える。
 
     
図1 「しいの木」における不登校児童生徒の現状
 
       
   2. 不登校の要因と不登校児童生徒やその関係者が抱える課題  
     不登校を主訴とする本教育センターへの来談者の学校生活での様子を見てみると、多くの児童生徒は、「対人関係の苦手さ」と「学習不振」の課題を抱えていた。対人関係の苦手さにおいては、「考えや思いをうまく伝えること」や「相手の気持ちを推し量ること」に苦手さがあり、うまく周りの人と関係性を築くことができずに困っていることが多かった(図2)。また、「学習不振」においては、「情報を取り入れる方法の偏り」や、学習場面での評価方法の核となる「書くこと」の苦手さがあるために、十分に学習に参加できなかったり、できたとしても、本人が兼ね備えている能力が十分に評価されなかったりした経験がある。これらの能力は、学校生活や社会生活を送る上では、必要不可欠であり、この能力を十分に発揮できない状態が続くことが、登校意欲を奪っていると考える。 
 
     
    図2 不登校児童生徒が抱える課題      図3 不登校児童生徒の関係者が抱える課題
 
       
     また、このような不登校児童生徒を支える学校関係者や家族もその対応に苦慮している(図3)。例えば、担任の先生は、日々の授業や部活動の合間を縫って、家庭訪問をしても、児童生徒と顔を合わせて何を話したらいいのだろうかと悩んだり、勉強はどれだけさせればよいのかと不安に感じたりしている。時には、会うことすらできないこともある。そこで、とりあえず、「来ないかもしれない」と思いながらも来週の行事予定を渡したり、今週あった各教科の学習プリントを渡したりしているが、なかなかかかわるための糸口をつかむことができずにいる。家族にとっては、自分の部屋にこもってインターネットやゲームを行っていることが多く、児童生徒と触れ合うことが減ってしまっている状態にある。ときには、腫れ物にさわるかのようにかかわったり、干渉せず自由にさせてみたりと児童生徒とのかかわりの糸口すら見えない状況にある家庭もある。
 ただ、前述の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」において、不登校児童生徒への指導結果状況としては、中学生の30.9%が、指導の結果、「登校する、またはできるようになった」としており、特に効果のあった学校の措置として、中学生では「家庭訪問を行い、学業や生活面での相談に乗るなど様々な指導・援助を行った」がもっとも多く、家庭への働きかけに効果があったという結果を報告している。つまり、学校関係者の温かなかかわり次第では、不登校状態にある児童生徒が学校復帰に向け、自信と意欲を高めていくことができると考える。
 
       
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