研究の成果と課題が日々の実践につながる校内研究の進め方を提案します!

1 研究の概要
 
  (1) 研究テーマ
   学校力を高める小・中学校の校内研究の推進・充実
   −一人一人が意識を高めながら取り組む校内研究−
  (2) 研究テーマ設定の趣旨
   ○学校教育における研究の必要性
   

教育基本法の第9条には、教員の条として、絶えず研究と修養に励むこと、養成と研修の充実が図られなければならないことが示されています。さらに、この改正で明確になった教育理念を踏まえ、学習指導要領の実施に当たり、指導方法の改善や教師の資質向上など効果的・効率的な指導のための方策が求められています。

平成23年3月に国立教育政策研究所から発行された「教員の質の向上に関する調査研究報告書」によると、平成19年度から平成22年度にかけて実施された全国学力・学習状況調査における校内研究や校内研修の実施状況の調査で、「『学校でテーマを決め、講師を招聘するなどの校内研修を行っている』『模擬授業や事例研究など、実践的な研修を行っている』……と回答している割合の高い学校が平均正答率が高い傾向が見られる」1)と述べられています。また、「校内研究と授業研究への取組が、教員間のコミュニケーションを活性化し、授業の水準を上げ、児童生徒の学力を高めることに寄与する」2)と考察されています。

【引用:1)2) 国立教育政策研究所 『教員の質の向上に関する調査研究報告書』平成23年3月 p.36、p.151】

   ○佐賀県における校内研究の実施状況の調査から
      平成25年度全国学力・学習状況調査での、佐賀県における校内研究や校内研修の実施状況の調査によると、ほとんどの小・中学校が「テーマを決めて校内研修を行っている」と答えています。さらに、「よく行っている」と回答した割合は小学校が約8割、中学校が6割と、全国の割合を大きく上回っています。しかしながら、研修の成果を教育活動に反映させていることについて見てみると「よく反映させている」と回答した割合は、小・中学校共に3割台でした。このことは、教師の校内研究に対する意識が授業研究会等の実施で完結するなど、研修の成果を教育活動に生かすことに結び付いていないことによると考えられます。
   ○本研究が目指すもの
     改善を図りながら研究の成果を生かそうとする意識を高めることは、校内研究におけるPDCAサイクルの確立に必要です。そこで、佐賀県の公立小・中学校における校内研究に関する課題を明確にし、その改善のための手立てを踏まえた授業研究会など、課題解決と校内研究の充実を図るための方策を実施することで、教師が各学校における研究の成果を積極的に教育活動に生かそうとする校内研究を推進できると考え、本テーマを設定しました。
  (3) 研究の目標
    
     県内の公立小・中学校を対象にした校内研究に関する実態調査から、その現状と課題を明らかにし、教師一人一人が各学校における研究の成果を教育活動に生かそうとする校内研究の進め方を提案します。
   
  (4) 研究の方法と内容
   
 
@  県内の公立小・中学校の校長及び研究主任を対象として、質問紙を用いた校内研究に関する実態調査を実施することで、校内研究の現状と課題について分析・考察を行います。
A  組織的な研究推進や学校における校内研究についての理論研究、これまでの校内研究に関する先行研究の調査を行い、実態調査から見られた課題の解決と校内研究の推進・充実のための方策を考えます。
B  研究推進協力校においての授業研究会などの実践を通して、校内研究の課題を基に立てた方策が各学校における研究の成果を生かそうとする意識を高めることにつながるか、その有効性について検証します。(2年次)
 

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