研究の成果と課題が日々の実践につながる校内研究の進め方を提案します!

2 研究の実際
 
  (1) 校内研究について
  @ 校内研修と校内研究

平成17年度の中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」の中で、「学校力」について次のように述べられています。

質の高い教師が教える学校、生き生きと活気あふれる学校を実現したい。学校の教育力、すなわち「学校力」を強化し、「教師力」を強化し、それを通じて、児童生徒の「人間力」を豊かに育てることが改革の目標である 。
                     【引用: 中央教育審議会 答申「新しい時代の義務教育を創造する」 平成17年10月】


 本研究では、「学校力」を児童生徒の成長のために学校が組織として機能する力のことと捉えます。それを具体化するために、教師が日々の教育実践に取り組み、研究会等を中心として教育活動全体の質を高めていくことのできる校内研究の進め方が必要であると考えます。

同じく上記の答申にて、教師の研修については次のように述べられています。

研修については、校内研修や任命権者等が実施する研修といった体系的な研修と教師の主体性を重視した自己研修の双方の充実が必要である。 …(中略) …研修の在り方については、講義形式だけでなく、実践的な指導力を向上させるとともに、 内容・方法の工夫・改善を図ることが必要である。
                     【引用: 中央教育審議会 答申「新しい時代の義務教育を創造する」 平成17年10月】


  本研究では、教師の資質能力向上を目指して行われる様々な研修を整理し、体系的な研修のうち、日々の教育実践や授業研究等の研修、服務に関する研修など学校内で行われるものを校内研修と捉えました。

また、昭和57年度の文部省初等中等教育局長通知「教員の採用及び研修について」の中では、次のように述べられています。

   各学校においては、教員が意欲をもって研修に努めるとともに、研修活動が日常の教員活動と結びついて行われるよう校内研修を重視し、その改善充実に努めること。
   学校においては、研修体制の整備を図り、定例的に研修の機会を設定する等計画的、継続的に校内研修を行うとともに、指導案の作成、授業など日常の教育活動の中で、校長、教頭、主任等が積極的に指導、助言を行い各教員が相互に啓発することが大切であること。
   校内研修については、教員が意欲をもって研修を行えるよう研究主題の設定、実施方法等を工夫するとともに、学校内外で行われる各種研修との関連を図ること。
                                   【引用:文部省「教員の採用及び研修について」 昭和57年5月】


 各学校で行われる研修は、計画的、継続的なものであるとともに、日常の教育活動と結び付く内容や方法にする必要があります。また、研修の取組については、教師が意欲をもって行うことが求められています。よって、研修における内容や方法等の工夫・改善を図る際には、これらのことを踏まえて実施することが大切であると考えます

さらに、様々な校内研修の中で学校の教育目標を達成するために、各学校の課題等に基づき、研究主題を設定して、計画的、継続的に教師が協働で研究し成果を生み出していくものを、本研究では、校内研究と位置付けます。

  A 校内研究に取り組む意義


  校内研究に取り組むに当たっては、その位置付けについて教師全員が共通理解を図ることが大切です。研究は、教師が社会の変化や要請に応じた教育を模索するために行うものです。また、学校教育をつかさどる教育者の使命として、児童生徒によりよい教育を提供していくために行うものでもあるといえます。

 

 ア 法的側面
   平成18年に改正された教育基本法で「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に務めなければならない」(第9条)という条文が加えられました。また、教育公務員特例法でも「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に務めなければならない」(第21条)と定められています。つまり、教師の研修に対する努力義務が法的に明らかになっており、ここに学校づくりにおける研究・研修の位置付けが明記されているといえます。
 
 イ 社会的側面  
 

社会の変化に伴い、学校教育が果たすべき役割は大きくなっています。また、社会の要請に応じた教育を模索していくことも教師の大きな役割となり、求められる資質・能力も多様化しています。文部科学省調査によると全国的に40〜50代の教師の割合が増加傾向にあり、平均年齢も40代前半となっています。偏った年齢構成となりつつある学校現場において、これまで蓄積されてきた優れた教育技術などの継承が途絶えないようにする必要が高まっています。これらの現状に対応するためには、教師が指導技術を向上させるとともに、互いに情報を交流・収集していく場を設定する必要性があります。このような社会的側面からも、校内研究の必要性は高く、更に充実させていく必要があると考えます。

 

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