「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組んでみませんか!

              
小学校第6学年 「明治の国づくりを進めた人々」その2(本時の様子)
本時の目標
  現在の日本の状況を考えるために、明治維新期の政策の成功か失敗かについて自分の考えをもつことができる。

本時の展開の概要(6/7)

 明治政府が行った地租改正、徴兵令、殖産興業の3つの政策について、政策のメリット(よい点)とデメリット(問題点)を整理した。その際、根拠となるデータ(資料や教科書の記述など)はなくても、予想による理由付けがあれば取り上げていった。これらを基に、明治政府の政策について、成功か失敗かで評価させ、自分の考えと友達の考えとで意見交流を行わせた。これにより、「国家」と「国民」という立場の違いに気付かせ、意見交流を踏まえた考えを記述させる(意思決定)ことで、討論型の学習へと促した。
本時に取り上げる社会的な問題
  社会的な問題「明治政府は、国家の利益を優先した政策を行ったこと」(研究や論争になる事件)
本時の様子
過程
主な学習活動
教師の指導・支援
資料


○本時のめあてをもつ。

○絵画資料を説明させることでこれまでの学習内容の確認をした。
○本時のめあてをもたせるために、前時とのつながりから、明治維新の施策にはメリット(よい点)だけではなく、デメリット(問題点)があったことに触れることで、めあてを見いださせ共有化した。




    
めあて 明治維新の政策のメリットとデメリットを整理しよう。








○政策評価をする。
  @明治維新期の政策を出す。
明治維新期の政策を問い、政策を行った理由を想起させる。その際、予想できる社会の状況を予想として板書に付け加えた。
  A政策のメリットとデメリットを整理する
 
○メリット(よい点)やデメリット(問題点)は、既習内容だけではなく、政策から予想される効果や予想される悪影響を加えた。その際、予想には予の印を付け、既習内容(事実)と混同しないように配慮した。
○立場を明確にした意見になるように、「政府」「国民」などの立場を述べさせたり、問い返したり、学級全体に問うたりした。
○デメリット重視の「国民の生活」優先の考えをもつ児童が多いと予想できることから、「なぜ、開国したのか?」や「再び鎖国を行うのか?」などの揺さ振りをかけ、「政府」優先の立場を見失わないように留意した。
 











明治維新期の政府の政策について、成功か失敗かの考えを記述する。
  @1人で考え、記述する。
A友達と意見交換する。
B再度1人で考え、記述する。

研究や論争となる事件(社会的な問題)
・明治政府は、国家の利益を優先した政策を行ったこと
○考えをまとめる過程として、まず、1人で考えさせ、口答で出し合わせ意見交流させることで、成功、失敗の立場を意識した理由で考えをまとめるように促した。
○最後に再度1人で考えさせることで、意見交流により付加されたり、再考されたりした理由をもとに1回目の意思決定を行わせた。
○板書を基に書くことだけではなく、自分が予想できる日本の状況についても理由として書くことを勧めた。

 論題  明治維新の政策は、成功、失敗のどちらであろうか。《学習問題U》
○本時のまとめをする。
○前時よりも自分の考えに深まりができたことを賞賛し、今後の学習に期待感をもたせた。
    
実践を終えて
【成果】
 政策について、メリット(よい点)やデメリット(問題点)を整理するとともに、政策から予想される効果や悪影響についても取り上げることで、「国家の利益」と「国民の生活」のどちらを優先した政策なのかという対立点を明確にすることができました。
 ワークシートと板書の様式がぴったり同じになるようにしました。これにより、友達との意見交流の際にワークシートや板書を指し示しながら自分の考えを述べている児童が見られました。理解を促すだけではなく、話合いのツールとしても有効であることが分かりました。
【課題】
 発言なら何でもよいになってしまったところがありました。予想だとしても「どうしてそう思ったの。思ったきっかけがあったら教えて」や「○○さんが言っていることの証拠を誰か言えないか」など教師の問い掛けが、説得力のある根拠へとつながっていくと考えられます。
 主張の仕方を指導する意味でも、データと理由付けの結び付きなどの根拠の質を考慮し、説得力のある主張を価値付けた指導を日常の生活の中でも取り入れる必要があります。
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