「児童生徒一人一人が居心地のよさを感じる学級集団づくり」について提案します!

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4 参考資料

   (2) Q&A
Q1: グループワークトレーニング(GWT)と構成的グループエンカウンター(SGE)の違いを教えてください。
A1: GWTは、SGEに比べ他者への気付きに重点を置いています。例えば、 GWTは、「いい考えを出した人は誰ですか?」「友だちの考えをほめた人は誰ですか?」のように他者の言動におけるよさや役割について振り返ります。 SGEは、「このエクササイズをしてどんな気持ちですか?」のように自分の感じたことや気付いたことを振り返るようにします。
Q2: アンケート(「Q−U」「がばいシート」)は、いつごろ誰が実施した方がよいでしょうか?

A2: 基本的には、学級の様子を見ながら学級担任の判断で実施します。一般的には、学級が落ち着いた5〜6月頃に1回目を実施し、支援の後の変容を見るために、10〜11月頃に2回目を実施します。具体的には各学年、各学期の始めや終わり、学校行事の前後、長期休暇の前後、学級で問題が起こったときやその支援を行った後などが考えられます。
実施者は、学級担任、副担任、学年主任、学科主任等が考えられます。また、教育相談担当者、スクールアドバイザー、養護教諭、部活動顧問等も可能です。

 
Q3: アンケートを実施する際に、不登校の児童生徒に対してどのように実施したらよいですか?
A3: 教室での実施が難しい場合には、別室で個別に実施することも考えられます。
 
Q4: アンケートを実施する際に、特別支援学級の児童生徒に対してどのようにしたらよいですか?
A4: 実施方法やその対応まで検討や配慮が必要です。具体的な実施方法としては、アンケートシートの文章を口頭で読み上げて分かりやすく説明したり、振り仮名を付けたり、用紙を拡大するなどが考えられますが、児童生徒の実態に応じて工夫を加えてもよいと思われます。
 
Q5: アンケートを実施することで、教師の評価につながるのではないか不安です。
A5: 教師の評価をすることを目的とはしていません。アンケート結果を見て、学級や個人の状態を客観的に把握すること、また、児童生徒が集団の中で安心して過ごすことができるための支援を考えることを目的としてアンケートを実施します。
 
Q6: 構成的グループエンカウンター(SGE)、ソーシャルスキルトレーニング(SST)、グループワークトレーニング(GWT)の授業をするときに参加したくない児童生徒がいた時はどのようにしたらよいですか。
A6: SGEやGWTを実施する前提として、児童生徒理解を踏まえて全員が参加しやすい、エクササイズを選ぶことが大切です。また、参加者が導入で具合が悪かったり、辛い気分になったりした場合には申し出ることを伝えておきます。その上で、活動への参加が難しいという申出があった場合は、友達の活動を見たり休んだりすることを提案します。途中から参加できそうな時は、参加を促します。授業後、エクササイズや見ていた時の気持ちを後で聴くことも大切です。
  また、 SSTを実施する際は、教師と児童生徒との関係やグループ活動ができる人間関係ができていることが大切です。その上で参加が難しい場合は、SGEやGWT同様の観察者として参加することを教師から提案します。
 
Q7: 単学級の場合、チームで検討や対応することが難しいのですが、どのようにしたらよいでしょうか?
A7: 管理職、教務主任、養護教諭など学級に関係のある先生方と話合いをすることが考えられます。事例研究会として、職員全員で話合うことも考えられます。また、近くの席の先生に相談することから始めてもよいでしょう。集団へのリーダーシップの取り方や気になる児童生徒への対応など、問題を一人で抱え込まないことが大切です。
 
Q8: 1時間の授業を確保するのが難しいのですが、どうしたらよいでしょうか?
A8: 朝の会・帰りの会、SHRの時間を使宇こともできます。例えば、学級通信などを発行して、「その文章を読んで感想を話し合う」というシェアリング形式の活動を行います。また、週の最後の帰りの会で「今週を振り返って」というテーマで、自分自身と友達に関して振り返り、それを全体でシェアリングするということも考えられます。ソーシャルスキルトレーニングでは、モデリングだけを取り扱ったり、構成的グループエンカウンターでは、ショートエクササイズとして行ったりすることもできます。
 
Q9: 構成的グループエンカウンターでシェアリングをするとき、気を付けることは何ですか?
A9: シェアリングとは、エクササイズで体験したことを分かち合うことです。エクササイズを体験して、「感じたこと」「気付いたこと」を参加者から引き出すことが大切です。また、気持ちや感情を表す言葉を引き出した後、その言葉を繰り返して共感することも大切です。 効果的なシェアリングに向けて、学級の実態に応じたルール作りを進めます。その際のルールや観点は表のとおりです。
 
[話す側]
[聞く側]
@
「今、ここで」感じていることを話す。 友達の話は最後まで聞く。
A
照れずに大きな声で、分かりやすく話す。 冷やかしたり、からかったり、否定的なことを言わない。
B
まず、自分について、学んだことや気付いたことをについて話す。 よく分からないときには、遠慮しないで質問する。
C
友達について、気付いたことを話す。 友達のよいところを見付ける。
D
下を向かずに、聞いている人の顔を見ながら話す。 話が終わったら、気持ちを込めて拍手する。
 
Q10: 学級担任以外にも実施できますか?
A10: 構成的グループエンカウンターは、学級担任以外でもいろいろな場面で行うことができます。例えば、専門教科の授業、委員会活動、クラブ活動、研修会、PTA役員との初顔合わせの会などでも実施が可能です。エクササイズを実施することであたたかな雰囲気をつくり、互いの関係性をスムーズにしていくのことにとても役に立ちます。
  ソーシャルスキルトレーニングは、学級担任ばかりでなく、学年や教科の担当教師やPTA役員などと打合せをしてティームティーチングで取り組むことも考えられます。その際は、事前に十分に学級の実態を把握しておくことが大切です。
 
Q11: おすすめの構成的グループエンカウンター(SGE)、ソーシャルスキルトレーニング(SST)、グループワークトレーニング(GWT)を教えてください。
A11: 学級の現状に合ったエクササイズを選んでください。→おすすめの活動はこちら
 
Q12: エクササイズを選ぶときのポイントは何ですか?
A12: 構成的グループエンカウンター(SGE)の4つの観点から総合的に考えて、実施するエクササイズを選ぶとよいです。
(1)目的は何か
(2)児童生徒の実態把握
(3)教師の願い、児童生徒の願い
(4)教師のリーダーとしての経験度と、エクササイズの特性・難易度
@自己理解
A他者理解
B自己変容
C自己表現・自己主張
D感受性の促進
E信頼体験
と目的を考え合わせて選ぶとよいでしょう。

児童生徒の実態把握を次の3つの観点からアセスメントします。児童生徒の「目的地」を的確に把握して、心的外傷や抵抗を起こさないものかを考えて選択するとよいでしょう。
@児童生徒一人一人の実態
A学級集団としての状態
B児童生徒のSGEに対するレディネスやモチベーション

 学級担任としてどのような学級にしたいのかを明確にします。その際に、教師からの児童生徒への一方的な「願い」を押し付けないようにすることが大切です。児童生徒の学級や授業に対する「思い」、「願い」を出させ、教師と児童生徒との「共通の願い」として共有しておくこととよいでしょう。  リーダーとしての経験度と、エクササイズの特性や難易度とを考え合わせて、教師は自分の力量に合ったエクササイズを選ぶとよいでしょう。
 
Q13: グループ分けの方法はどうしたらよいでしょうか?
A13: 構成的グループエンカウンターでは、グループ分けの方法を考える場合に、最も留意しなければならないのは、エクササイズのねらいを達成するのに最も適したメンバー構成は何かを考えることです。目的を明確にした上で、グループ分けの方法を選択する必要があります。グループ分けの方法は、次の3つが考えられます。
  @グループのリレーションの状態
  Aエクササイズのねらい
  B実施に適したグループの人数
  また、レクリエーション的な要素を加えるのもよいです。例えば、くじ引き、歌や記号が同じになった人同士などです。そのとき、教師は「いつも同じ人同士がグループになっていないか」「男女が分かれてグループになっていないか」「仲間はずれの人がいないか」などに十分に気を配りながら、必要に応じて介入し、適切なグループづくりの支援をすることが求められます。
 
Q14: アンケートは、年度内に2回実施しなければなりませんか?
A14: どのような場合も「児童生徒理解→対応→変容・考察」という流れが基本的なパターンになります。したがって、複数回実施するのが基本です。しかし、1回しか実施できないときは、観察法、面接法、職員研修などで、児童生徒理解を行っていきましょう。
 
Q15: 構成的グループエンカウンター(SGE)やソーシャルスキルトレーニング(SST)は、何の教科・領域で実施できますか?
A15:【小学校】
    ・小学校特別活動【学級活動(2)ウ望ましい人間関係の育成】
   
・小学校低学年・中学年の国語科【「話すこと聞くこと」】
    ・生活科【(1)学校と生活】【(3)地域と生活】【(9)生活や出来事の交流】
    【中学校】
    ・中学校特別活動【学級活動(2)ウ望ましい人間関係の確立】
   
・中学校特別活動【学級活動(3)エ望ましい勤労観・職業観の形成】
     【高等学校】
    ・高等学校特別活動【ホームルーム活動(2)オ コミュニケーション能力の育成と人間関係の確立】

       で実施することができます。
     ・高等学校特別活動【ホームルーム活動(3)オ望ましい勤労観・職業観の確立
    この他にも、  
     ・総合的な学習の時間【学び方やものの考え方を身に付けること】
     ・道徳【2 主として他の人とのかかわりに関すること】    
    ・外国語活動【コミュニケーションに関する事項】 
       などの時間に実施することが考えられます。      
        実施する際は、各教科等の目標とSGEやSSTの得られる効果を十分照らし合わせることが必要です。
 
 
このページの説明は、下記の文献等の記述を参考に作成しました。
文献・資料名
著者名等
発行年
発行所
学級づくりのための Q−U 入門 河村 茂雄 2006年 図書文化社
協力すれば何かが変わる ≪続・学校グループワーク・トレーニング≫ 日本学校GWT研修会 1989年 遊戯社
エンカウンターで学級が変わる ショートエクササイズ集Part2 國分 康孝 2001年 図書文化社
構成的グループエンカウンタ−事典 國分 康孝・國分 久子
総編集
2004年 図書文化社
エンカウンターで学級が変わるショートエクササイズ 國分 康孝 1999年 図書文化社
 
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