知識・技能の習得と数学的な思考力・判断力・表現力の育成を目指します!

2 研究の実際
(3)平成24年度全国学力・学習状況調査の問題分析と指導の手立て

平成24年度4月に実施した全国学力・学習状況調査の中で、これからの中学校数学科において求められている力やこれまでの調査において本県生徒に課題が見られた力を問うている調査問題を取り上げ、分析をしています。出題の趣旨や調査問題の具体的な内容、調査問題で求められている力やそれらの力を育むための指導について示していますので、これからの指導の参考にしてください。

中学3年生 数学B大問1(2) 
学習指導要領に おける 領域・内容 A 数と式(第2学年)
(1)事象の中に数量の関係を見いだし、それを文字を用いて式に表現し活用する能力を伸ばすとともに、文字を用いた式の四則計算ができるようにする。
イ 数量及び数量の関係をとらえるために文字式を利用できることを理解すること。
出題の趣旨
文字を用いた式の計算の過程を振り返ったり、数学的な結果を事象に即して解釈したりして、事柄が成り立つ理由を数学的な表現を用いて説明することができるかどうかをみます。
問題の内容
2つの人工衛星の軌道の差を求める計算の過程を振り返ったり、計算した結果から文字を用いた式の意味を読み取ったりして、その差が地球の半径に関係なく決まることの理由を数学的な表現を用いて説明する問題です。
この問題で求められている力
この問題では、次の3つの力が求められています。
文字を用いた式で数量及び数量の関係を読み取る力
文字を用いた式の計算の過程において、消去される文字を用いた式の意味を読み取る力
文字を用いた式の計算の結果を事象に即して数学的に解釈し、数学的な表現を用いて説明する力
求められている力を育むための指導例
事象に即して文字を用いた式の数量及び数量の関係を読み取ることができるように、立式や計算の過程で式の表す意味を確認していく指導が考えられます。
文字を用いた式の計算の過程や結果を振り返る場面を設定し、立式と結果の式で文字を用いた式がどのように変わっているかなどの式の特徴について考察させる指導が考えられます。
ある事柄が成り立つことを説明する際に、説明する事柄とその根拠の両方を示すことで、2つの事柄を関連付け、数学的な表現を用いて説明させる学習活動を取り入れることが考えられます。
 
中学3年生 数学B大問5(3) 
学習指導要領に
おける 領域・内容
B 図形(第2学年)
(2)平面図形の性質を三角形の合同条件などを基にして確かめ、論理的に考察する能力を養う。
ア 証明の意義と方法について理解すること。
イ 三角形の合同条件を理解し、それに基づいて三角形や平行四辺形の性質を論理的に
確かめることができること。
出題の趣旨
木の高さを求めるために、他の長さを求めることで木の高さを求めることができるのか、図形の性質を用いて説明することができるかどうかをみます。
問題の内容
地面から直接測ることができない木の高さの求め方について、どのような図形の性質を利用して求めているかを判断したり、木の高さを求めることができることについて数学的に説明したりする問題です。
この問題で求められている力
この問題では、次の4つの力が求められています。
木の高さABは、AEとEBの長さを合わせたものになることを見いだす力
AE=CE=DB、EB=CDが成り立つ理由を、図形の性質を根拠として見いだす力
△ACEが直角二等辺三角形であることを見いだす力
与えられた情報を基に、記号や言葉を使って数学的に説明する力
求められている力を育むための指導例
長方形、二等辺三角形になることを確認するだけでなく、その図形の性質を利用して等しい辺や角を見いだす学習活動を取り入れることが考えられます。さらに、見いだした事柄を基に関連する図形について考察していく学習活動を取り入れるとより効果的です。
等しい辺や角を見いだし、その理由を説明させる際は、まずどのような図形の性質を根拠として用いているのかを確認し、その事柄を基に説明させるようにする指導が考えられます。


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