基礎的・基本的な知識・技能の習得と数学的な思考力・判断力・表現力の育成を目指します!

 2学期の授業に役立つ授業プラン
 
この授業プランについて

 

 算数的活動を取り入れた学習を通して、数学的な思考力・判断力・表現力をはぐくむことが求められています。改訂された学習指導要領を見るとその手立てとして、自分の考えを表現する活動や自分の思いを説明する活動等が示されています。そこで、今回の研究の柱の一つとして、数学的な思考力・判断力・表現力をはぐくむための算数的活動を取り入れた授業の実践例を提案することとしました。
 まず、最初の提案例として小学校5年生の単元「計算のきまり」(東京書籍)を取り上げることにしました。この学習単元では、問題解決的な学習の中で、作業的な活動や具体物を用いた活動を通して、基礎的・基本的な知識・技能の習得を図るとともに、学び合いの学習過程において自分の考えを表現する活動や友達に自分の考えを説明する活動を取り入れながら、数学的な思考力・判断力・表現力の育成を目指すこととしました。
  単元名 「計算のきまりを見なおそう」 (東京書籍 小学校5年上)       総時間数 4時間
 
  
  1 目標
  (1) 四則演算について成り立つきまりや性質を用いて計算の方法を発展的に考えようとする。【算数への関心・意欲・態度】
  (2) 計算のきまり(交換法則、結合法則、分配法則)についてまとめるときに、■や●などを用いてこれらを一般的にとらえて考える。【数学的な考え方】
  (3) 四則演算に関して成り立つきまりや性質を用いることができる。【数量や図形についての表現・処理】
  (4) 四則演算に関して成り立つきまりや性質を理解している。【数量や図形についての知識・理解】
     
     
  2 単元とその指導について
  (1) 教材観
     本単元は、4年生までに学習した四則演算に関して、成り立つきまりや性質についての理解を深め、計算の方法を発展的に考えるときなどに、これらを活用する能力を高めることをねらいとしています。 これまでに加法や乗法の学習を通して、交換法則、結合法則、分配法則が成り立つことを学習しています。また、乗法・除法の性質や乗除の相互関係についても、様々な計算活動の場面において扱ってきていると考えられます。ここでは、これまで個別に扱われていた性質を総括的に整理し、「計算のきまり」としてまとめていきます。 これらの計算のきまりを振り返り、理解を深めることは、今後の小数や分数の学習にそのきまりを拡張することにつながると考えます。
  (2) 指導観
     指導に当たっては、具体物を用いて操作する活動、自分の考えを言葉や図、式を使って表現する活動、説明する活動など、算数的活動を積極的に取り入れた問題解決的な学習を展開します。このような算数的活動に主体的に取り組ませることで、基礎的・基本的な知識・技能の習得を図り、数学的な思考力・判断力・表現力をはぐくむとともに、算数のおもしろさやよさが実感できるようにします。まず、分配法則を見出す場面では、具体物を操作したり、アレイ図を活用したりしながら、計算の法則を作り上げていく場を設けます。計算の法則を形式的に覚えさせるのではなく、視覚的にとらえさせることにより、計算の法則の具体的な意味をつかませようと思います。教科書の導入では、すでにアレイ図が提示されていますが、今回は、実際に具体物を「色ごとにそろえて並べる」といった操作活動を取り入れます。その並べ方に基づいて立式させ、同じ並べ方を表した式同士を等号で結びます。そして、別の並べ方の式と比較することにより、分配法則を一般化していきます。さらには、「図から式を表す」だけでなく、「式を見て図に表す」といった可逆的な思考が可能になる問題を与えます。このように視覚的にとらえさせながら式とアレイ図を結び付ける活動を通して、理解を深めるとともに、「式に表す力」「式をよむ力」を伸ばしていきたいと考えています。
 また、乗法、除法の性質や乗除の相互関係の学習においても、形式的な指導にならないようにします。具体的な問題場面において、それを解決したり、複数の除法の式を比べたりする活動を通して、きまりや性質を確かめられるようにしたいと思います。
  習熟のための練習問題では、工夫して計算の法則を用いることにより、簡単に計算できること(数理的なよさ、おもしろさ)を実感させたいと考えています。
  (3) 算数的活動について
      これまでの多くの授業実践の中で行われたように、基礎的・基本的な知識・技能の習得を図るためには、具体物を用いて操作する活動や絵図や式、言葉等を活用して計算の性質を見付け出す探究的な活動を取り入れることが大事です。

また、これらの知識や技能を活用して、数学的な思考力・判断力・表現力を育成するために、それぞれの学習において、自分の考えを書き表したり、ペア学習またはグループ学習で友達に説明したりする活動を取り入れる事が必要になってきます。
  それぞれの時間ごとの学習目標に合わせて、具体物を用いた活動や探究的な活動、自分の考えを表現する活動や説明する活動などを取り入れて指導方法を工夫したいと思います。

   
  3 単元計画(全4時間)
 
ねらい 時数 主な学習活動
(位置付けた算数的活動)
評価規準
分配法則の理解を深める。

《1/4の展開》
・アレイ図から全部の数を求める式を考える。

・複数のアレイ図と式から(■+●)×▲と■×▲+●×▲が等しいことを確かめ、分配法則についてまとめる。

(探究的な活動)
(表現する活動)
(説明する活動)

・既習の学習を基にして、分配法則を確かめようとしている。
【関心・意欲・態度】
・アレイ図と式を結び付けて考え、分配法則を説明することができる。
【数学的な考え方】
交換法則、結合法則の理解を深める。

《2/4の展開》
・既習の加法や乗法についての交換法則、結合法則を確かめる。
・1位数×2位数の筆算の構造を計算のきまりを用いて見直すことができる。

・計算のきまりを使って工夫して計算する。
(振り返る活動)
(探究的な活動)
(説明する活動)
・計算のきまりをまとめるとともに、■、●、▲などを用いて、これらを一般的にとらえている。
【数学的な考え方】

・計算のきまりを用いて工夫して計算することができる。
【表現・処理】
乗法と除法の性質の理解を深める。

《3/4の展開》

・長方形の横の長さを2倍、3倍…に伸ばした時、面積が何倍になるかという具体的な問題を通して、乗数と積の関係について確かめる。

・24÷4=6 と 48÷8=6 で
除数と被除数の関係について確かめる。

(探究的な活動)
(表現する活動)
(説明する活動)

・既習の学習を基にして乗法と除法の性質を確かめようとしている。
【関心・意欲・態度】
・乗法、除法の性質を用いて問題を解決することができる。
【表現・処理】
・乗法と除法の性質を理解している。
【知識・理解】
乗法と除法の関係を見直す。

《4/4の展開》
・ ■×●=▲と▲÷●=■の関係について考え、乗法と除法の関係を見直す。

(表現する活動)
(説明する活動)

・乗法と除法の関係を理解している。
【知識・理解】
   

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最終更新日:. 2011-06-17