| 新学習指導要領から |
平成20年３月に改訂された学習指導要領では、基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させること、知識及び技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を育成することが重視されています。算数科においては、「算数的活動を通して」という文言が教科目標のはじめに位置付けられ、発達段階に応じて、算数的活動をより一層充実させ、知識及び技能を確実に身に付けさせることや数学的な思考力・判断力・表現力をはぐくむこと、学ぶ意欲を高めることの重要性が述べられています。また、「算数的活動」の一層の充実を図るために、各学年の内容において具体的な活動の例が示されています。 |
| 全国学力・学習
状況調査および
佐賀県小・中学校学習状況調査
の結果から |
文部科学省が、平成19年度から実施している全国学力・学習状況調査は、「知識」に関するＡ問題と「活用」に関するＢ問題に分かれていて、Ｂ問題では、知識及び技能等を生活の様々な場面に活用する力や条件を整理して筋道立てて考える力が求められています。平成20年度の佐賀県の調査結果は、Ａ問題の「数と計算」「量と測定」領域は全国平均を上回りましたが、Ｂ問題では全国平均を下回る領域が目立ちました。設問別に見ると、「図形に関する知識を基に論理的に考え、数学的な表現を言葉に置き換えて理解すること」「グラフから必要な情報を読み取って論理的に考えること」などの正答率において課題が見られました。また、平成20年度佐賀県小・中学校学習状況調査においては、全国調査と同様に「自分の考えを分かりやすく表現すること」などの結果に課題が見られました。これらの調査の結果を踏まえ、「算数的活動」の充実を図り、基礎的・基本的な知識・技能の習得を図ること、また、数学的な思考力・判断力・表現力をはぐくむことが求められています。 |
| 「算数的活動」
とは |
「算数的活動」については、「児童が目的意識をもって主体的に取り組む算数にかかわりのある様々な活動」と示されています。これまでの指導では、作業的・体験的な活動などの身体を使ったり、具体物を用いたりする活動を主とした授業実践が多く見られました。今回の改訂では、「算数の知識を基に発展的・応用的に考えたりする活動や、考えたことを表現したり、説明したりする活動など、様々な活動が含まれる」とされ、その具体例も示されています。
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| 算数的活動を充実させた学習指導の工夫 |
本研究においては、まずはじめに、学習指導要領における指導事項を基に学習内容の系統性を明らかにし、活動のねらいを明確にした算数的活動を示していくようにします。その上で、基礎的・基本的な知識・技能の習得を図り、数学的な思考力・判断力・表現力をはぐくむためにはどのような算数的活動を構成し、学習指導に位置付ければよいかということを明確にし、その検証を行います。
具体的には、
① 数学的な思考力・判断力・表現力を下支えする知識・技能の明確化
② 基礎的・基本的な知識・技能の習得につながる算数的活動の例示
③ 数学的な思考力・判断力・表現力をはぐくむ算数的活動の例示
④ それぞれの算数的活動を取り入れた授業モデルの考案と、それに基づく指導案作成（基礎的・基本的な知識・技能の習得編、思考力・判断力・表現力の育成編）
⑤ 授業を構想し､検証授業を通しての指導ポイントの明確化
以上のような①～⑤の手順に沿って研究を進めていきます。
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