児童生徒の様子
学年・性別 小学校 高学年
学習の様子 教室に入ることが難しいため,一斉指導の学習には取り組むことができない。学校生活の大半を,相談室で過ごす。相談室や家庭で学習を行っている。
生活の様子 学校生活の中で,言葉を発することはほとんどない。少人数の中では,時折笑い声を出すことがある。家庭では会話ができている。昨年度より教室に入ることが難しくなった。
友達関係 学校では,友達と遊ぶことはほとんどない。
好きなこと なわとび
苦手なこと 集団での活動
プロフィールから
の気付き
集団を避ける,学校で話さない,活動に参加しないの,三つのタイプの傾向が強くみられる児童であるといえる。支援にあたっては,本人の様子から「集団を避ける」「学校で話さない」ことを取り上げ支援を行っていきたい。
期待する姿 ○ 自分なりの方法で学校行事に参加することができる。
○ 自分の思いを,自分なりの方法で表すことができる。
支援案の検討       支援案選択シートはこちら
支援メンバー 担任・コーディネーター・生活指導員・相談員・養護教諭
話し合いの様子 校内委員会で,支援案計画シートを資料として本人についてのケース会議を実施した。また担任とコーディネーターが具体的な支援方法を話し合う際にも,支援案計画シートを参考にした。
支援の方向性 学校内に安心できる場所や人をつくる。担任一人に任せるのではなく,職員間の共通理解を図り,支援メンバーが具体的にかかわっていく。
支援案の選択とその理由
(優先順位1)
【その子なりの参加の仕方を工夫する。】
 学校行事などに,本人なりの参加をすることで,参加できたという達成感を味わって欲しいと考えた。 
支援案の選択とその理由
(優先順位2)
【子どもの感情や気持ちを教師が代弁する。】
 子どもの気持ちを教師が言語化することで,自分の思いが伝わるという安心感が高まり,自分の思いを伝えやすくなると考えた。
支援案の選択とその理由
(優先順位3)
【本人がリラックスできる時間や場を設ける。】
 学級という大きな集団の中では,緊張した姿が見られるため,本人が安心して過ごせる場などを準備することにした。
支援案の選択とその理由
(優先順位4)
【話せないことを個人の特徴とし,認め合える集団作りをする。】
 学級の子どもたちが,本人のことを理解し認めることで,本人が安心して学級で過ごすことができるようにする。
 
支援の様子と評価    支援計画シートはこちら     個別支援シートはこちら
優先順位1の支援案 その子なりの参加の仕方を工夫する。      
具体化された支援 本人に付き添って,離れた場所から参加する。
導入時期の評価 :「◎」  理由:教師が側に付き添うことで安心でき,主な学校行事に本人なりの参加をすることができた。 
経過時期の評価 :「○」  理由:欠席が増え行事等への参加の機会は減ったが,自分で決め,参加するようになった。
優先順位2の支援案 子どもの感情や気持ちを教師が代弁する。     
具体化された支援 表情や行動から読み取れる感情を,言語化して本人に返すようにする。
導入時期の評価 :「○」  理由:自分の意思を教師が読み取ってくれることで,本人の表情に安心感が見られた。
経過時期の評価 :「◎」  理由:教師の問い掛けに対して,頷くことが多くなった。
優先順位3の支援案 本人がリラックスできる時間や場を設ける。    
具体化された支援 週3回,担任が相談室で本人と個別にかかわる時間をもつ。(トランプ,なわとびなど好きな活動をする)
導入時期の評価 :「○」  理由:週3回と決めたことで,本人もその時間を待つようになった。
経過時期の評価 :「○」  理由:教師との信頼関係ができ,笑顔が多く見られるようになった。
優先順位4の支援案 話せないことを個人の特徴とし,認め合える集団作りをする。     
具体化された支援 相談室での本人の様子を他の子に伝えたり,学級の様子を本人に伝えたりする。
導入時期の評価 :「○」  理由:学級の子どもたちは,いつも明るく声を掛けており,本人も声を掛けられて嬉しそうであった。
経過時期の評価 :「○」  理由:本人が欠席している時,心配して教師に尋ねに来る子どもが増えた。
支援の振り返り
支援後の
プロフィールの気付き
学校で話すことはまだ難しいが,行事への参加など無理のないところで集団活動に参加することができるようになり,「集団を避ける」ような行動が緩和してきた。
子どもの変容 時間割を見て,登校する時間や参加する活動を,自分で決めることが徐々にできるようになってきた。また,教師の問い掛けに対し,うなずいて答える姿が見られるようになった。しかし,事情により,欠席が増えている。