4 研究のまとめ

素材について考える時間〈視点@〉について
 素材のよさに触れさせるために、導入では、はてな(?)ボックスに段ボール片を入れて予想させた。材料によっては、全員にさせたいところである
 また、友だちの作品鑑賞でも素材のよさについて考えられるように右(写真7)のように示した。以下のような感想を書いていた。 

(資料1:友だちの作品を鑑賞しての感想)

○○○ 
犬ごやがじょうぶにできていた。
ボンドでつないでじょうぶにできた。
ひこうきのさきを
とがらせていた。
クリスマスツリーのさきに、
ほしのかたちがついていてほんもののようだった。
        
(写真7)
友だちの作品を見てみよう。
形・・・
つかいかた (おる、はがす)
くみあわせかた (いろいろな形、かさねかた)
じょうぶさ (ボンドのつかいかた)
(資料2:広用紙の記載内容)
 友だちの作品を見る観点について示したことで段ボールのよさに気付きながら鑑賞活動ができた(資料1)。単に観点の言葉を真似した児童もあり、発表の仕方や観点の示し方等も検討していきたい。今回は段ボール素材のよさと2年生の段階を考え、資料2のように示した。素材のよさをどうとらえさせるかが大切になる。
自分とのかかわりを考える時間〈視点A〉について
 作品の仕上がり具合で考えが変わってくることもあったが、作品を飾る場所等を考えることができた(資料3上段)
(資料3:子どもたちの作品カードや発言)
○ピアノの上にかざりたい
○おとうとがこわすのでたかいところにおきたい。
○げんかんにかざりたい。人がいっぱいくるから
○つくったさかなは水そうのちかくにおきたい。
○つくったもの(ひこうき)であそびたい
○おかあさんに見せたい
  他に、ロケットを制作している児童が「天井につるしたい。」と答えたり、動物をつくった児童が「草むらにおきたい。」と答えたりと作品の特徴と関連付ける児童もいた。「作品で遊びたい。」といった生活場面と照らし合わせた2年生らしい感想(資料3下段)もあった。作品として飾る場所を考えた児童が多く、場面設定の必要性も感じた。ちょうどクリスマスに興味をもつ季節でもあり、ツリーをつくった作品もあった。季節感や地域、社会と自分との関係を明確にする等視点をしぼっていきたい。また、作品を置きたい場所へ行って鑑賞することも今後取り入れていくことで自分とのかかわりを密にできると考える。 
 

授業のまとめ
 授業の中で、段ボールの片面をはがして波型の形を生かす児童や立つように折り曲げ方や接着を考える児童がいた。「友だちの作品を見てみよう」と示した広用紙(資料2)に実際にいろいろな段ボールを貼ったことも参考になったようだ。2時間目に友だちの作品を見て、作品を立つようにしていく児童も増えたが、少し難しそうであった。
(写真10) (写真11)  段ボール片の山から同じようなものだけを集めてつくった児童(写真10)や思いに合った形を選んでいく児童(写真11)がいた。形にこだわって表現することができた。
 材料からの子どもたちの思いを更に広げるには、何かに見立てる遊びや段ボールを裂いたり丸めてみたり等の時間を取ることも有効である。今回の授業では、材料の形の組み合わせからつくりたいものをイメージし作品をつくっていくものだったが、最初何をつくってよいか迷う児童もいた。しかし、接着してみたり友だちの作品を見たりして思いを広げていた。
 段ボール片の穴の開いた形から発想しバックをつくる児童(写真12)も見られた。子どもたちは段ボール片を並べたり重ねたりしながら作品のイメージをふくらませていった。
 動物の親子をつくった作品(写真13)や季節感のある作品(写真14)があり、つくりたいものをある程度絞り、選択させていくことも可能であると思う。
 

(写真12)

          (写真13)

(写真14)

(写真15)
 表現する中で、着彩をしたいという児童には、折り紙をワンポイントで使用させた。あくまで、補助的に使わせ、段ボールの素材にこだわるようにした。模様を小さく切ってはることを考え付いた作品(写真15)もあった。
成果と課題


子どもたちは、「飾る場所」を考えることで鑑賞の視点も増え、素材のよさに気付きながら制作することができた。
作品へのこだわりをもって活動できるようにするためにはどうしたらよいか。他に自分と作品とのかかわりを深める手だてはないか探っていきたい。