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平成16年度より,佐賀県「オンリーワン」のさが体験活動支援事業(以下,オンリーワン事業とする)が始まりました。そこには,佐賀県に生きる子どもたちに,佐賀県の産業について理解してもらいたい,体験活動を通して豊かな感性を身に付けてもらいたい,郷土への理解と愛着を深めてもらいたい,ふるさと佐賀のよさを実感し,誇りに思う気持ちをもってもらいたい,という願いが込められています。
今,それぞれの学校が,オンリーワン事業に取り組み,佐賀県内で素晴らしい実践が生まれています。オンリーワン事業は,十分な時間を必要とするため,ほとんどの学校が総合的な学習の時間(以下,総合的な学習とする)を使って実施しているようです。しかし,学校現場からは,次のような不安の声も聞こえてきます。 |
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・ 「体験活動をさせるだけでよいのだろうか」
・ 「総合的な学習の時間を利用して実施しているが,その時間のねらいが達成できているのだろうか」
・ 「楽しかった,おもしろかったという子どもの感想で終わってよいのだろうか」
・ 「教師が子どもに求めている力が,確実に子どもの身に付いているのだろうか」
・ 「オンリーワン事業においてどのような学力が付いているのだろうか」
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オンリーワン事業は,ほとんどの学校が教科・領域等の時間を使って実施していますが,その場合,オンリーワン事業のねらいと共にそれぞれの教科・領域等のねらいを達成することが必要不可欠です。特に,総合的な学習の時間を中心とした実施が多いようですので,ここでは,そのことについて考えていきます。 |
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(1) 総合的な学習の時間のねらい (文部省学習指導要領より) |
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1 |
自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。 |
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2 |
学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすること。 |
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3 |
各教科,道徳及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。 |
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総合的な学習の時間に関するその他の留意事項 |
◇ |
各学校においては,趣旨及びねらいを踏まえ,総合的な学習の時間の目標及び内容を定め,例えば
・ 国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題,
・ 児童の興味・関心に基づく課題,
・ 地域や学校の特色に応じた課題などについて,学校の実態に応じた学習活動を行うものとする。 |
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◇ 各学校においては,学校における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,育てようとする資質や能力及び
態度,学習活動,指導方法や指導体制,学習の評価の計画などを示す総合的な学習の時間の全体計画を作成
するものとする。 |
以下の表は,参考例です。 |
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佐賀県は,豊かな自然に恵まれ,農林水産業や窯業等の地場産業が盛んであるが,子どもたちは,これらの産業についての理解が十分ではなく,直接体験する機会等も乏しくなっている。 |
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そこで,子どもたちが,佐賀ならではの,また,地域ならではの各学校の特色に応じた「オンリーワン」の体験活動を行うことにより,豊かな感性を育むともに郷土への理解と愛着を深め,ふるさと佐賀のよさを実感し,誇りに思う気持ちを育てる。 |
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<対象> 佐賀県内の小学校第4学年〜中学校第2学年の児童生徒 |
<事業内容>
◇ |
小中学校において,佐賀のよさを生かし地域の実情に応じた農林水産業体験活動や窯業などの地場産業体験活動を,小学校と中学校を通じて系統的に実施する。学校で取り組む体験活動は,単発的なものでなく,計画的で連続性のあるものとし,身に付けたい力や知識,技能などを明確にする。 |
◇ |
小中学校においては,児童生徒が取組内容等のまとめを行い,学校のホームページで発信したり,文化祭などで発表したりする。 |
◇ |
小中学校において,活動の成果について評価を行うものとする。本事業は,学校評価の特定課題の項目の一つになっている。 |
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「平成17年度オンリーワン事業実施要項」より |
<留意点> |
◇ |
体験活動が,「楽しかった」,「おもしろかった」,「おいしかった」などの体験で終始しないように,そこで教師が身に付けさせたい力や知識,技能などの学びが存在するように工夫する。 |
◇ |
平成16年度の実施を踏まえ,事業の成果と課題を洗い出し,それを改善したものが,次年度の計画になるようにする。 |
◇ |
調べて分かったことと,児童生徒の考えや意見などを区別して,発表や発信をする。 |
◇ |
HPでの掲載に当たっては,活動の写真やキャプションのみにならないように工夫する。 |
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「平成17年度オンリーワン事業実施にかかわる留意点」より |
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3 総合的な学習でオンリーワン事業を実施する上での留意点 |
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オンリーワン事業は,体験活動を通して,豊かな感性を育むと共に郷土への理解と愛着を深め,ふるさと佐賀のよさを実感し,誇りに思う気持ちを育むことが最大のねらいとなっています。もし,総合的な学習の時間を使ってオンリーワン事業を実施するならば,オンリーワン事業のねらいと共に総合的な学習の時間のねらいについても考慮しておくことが重要です。そこで,総合的な学習の時間の単元を考える上での留意点として,次のような項目を考えてみました。 |
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☆ |
子どもが自ら見付けることができる課題 |
☆ |
体験活動だけに終わらない学習内容 |
☆ |
よりよく問題を解決する場面がある学習内容 |
☆ |
自己の生き方について考えることができる学習内容 |
○ |
子ども(自分自身)にとっての切実な課題や問題が含まれる学習内容 |
○ |
課題が,身近なものであり,子ども自身が見通しを持って計画を立てて解決できる学習内容 |
○ |
人とのかかわりが必要となる場面がある学習内容 |
○ |
課題を解決することが,自分にとっても人にとっても役に立つものとなる学習内容 |
○ |
友達と話し合ったり,意見交換をしたりするような学び合いの場面がある学習内容 |
○ |
子どもが,自分の学びを確かめる場面(活動をふりかえる場面)がある学習内容 |
○ |
学習したものを,人に知らせる(広げる)場面がある学習内容 |
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☆・・・必ず,達成しなければならない項目 ○・・・総合的な学習をよりよくするための項目 |
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昨年度から開始されたオンリーワン事業における小学校の取組状況は,次のグラフより,農業に取り組む学校が多いことが分かります。また,平成16年度から平成17年度にかけては,それ程取り組む産業に変化はありませんが,地場産業に取り組む学校が増えており,その内容として,羊羹,石工,鋳物などが挙げられます。 |
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小学校におけるオンリーワン事業の取組状況 |
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◇ |
平成17年度オンリーワン事業における取組状況 〜校種別〜 |
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小学校:174校(311学級) 中学校:93校(271学級) 平成17年11月1日現在 |
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農 業 |
林 業 |
水産業 |
窯 業 |
地場産業 |
小学校 |
学校数 |
107 |
12 |
15 |
38 |
4 |
割合(%) |
60.7 |
6.8 |
8.5 |
21.5 |
2.2 |
中学校 |
学校数 |
55 |
5 |
13 |
24 |
1 |
割合(%) |
56.1 |
5.1 |
13.2 |
24.4 |
1.0 |
合計 |
学校数 |
162 |
17 |
28 |
62 |
5 |
割合(%) |
59.1 |
6.2 |
10.2 |
22.6 |
1.8 |
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※一つの学校で,複数の産業に取り組んでいる学校もあります。 |
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表より,平成16年度,17年度と農業に取り組む学校が多いようです。農業では,タマネギやアスパラガス,レンコンなどの野菜,ナシやミカン,ビワなどの果物作りに取り組んでいる学校もありますが,ほとんどの学校が米作りに取り組んでいるようです。 |
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5 オンリーワン事業の実践校の産業別の紹介(一部) |
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ここに紹介した学校は,産業別の実践校例です。この他にも,多くの学校がそれぞれの地域に根ざした産業に取り組んでいます。
オンリーワン事業の取組をホームページで紹介している学校がありましたら,このページでも紹介させてもらいたいと思います。お手数ですが,佐賀県教育センターまで連絡していただければ幸いです。よろしくお願いします。 |
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連絡はこちらの方にお願いします。
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