微分法・積分法領域の研究
@ 不等式の証明とマクローリン展開との関係について

 教科書や大学入試では、次のような不等式の証明問題が出てきます。
 証明すべきこれらの不等式がどのようにして作成されたものか、先生方は疑問に感じられたことはないでしょうか。
 出題の背景にある理論を知ることは、問題を把握し、余裕をもって指導するために大変重要なことだと思われます。
 ここでは、不等式の証明とマクローリン展開との関係について紹介します。

 実は、このような不等式の証明問題の根底には、次の公式があります。

 平均値の定理

 この定理は、

 とも表現できます。この平均値の定理から、次の定理が導かれます。

  ロルの定理


 このとき、ロルの定理を利用して、次のAが証明できます。



Aは、平均値の定理から派生したものですが、この考え方をn次導関数まで拡張したものが、
次の定理になります。



  このように、微分法を用いた不等式の証明問題の多くは、平均値の定理から導かれるテーラーの定理、
マクローリンの定理を基に作成されています。