○ 学習指導案    小学校第5・6学年 「 英語活動 」

1 活動名 「オリジナルえいごリアンを描こう」(平成16年11月実施,6名)
           (タスクベース・コンテントベースの英語活動例)
                                          授業実践者:佐賀県教育センター
                                                   研修員 宗  誠

2 単元とその指導について
 本単元では,色を表す英単語を取り扱いながら,自分だけのオリジナルえいごリアンを描くという作業を取り入れることにした。教師の英語による指示に従って作業を進める中で,英語による意味のあるやりとりをさせることを主なねらいとする。また,3原色を混ぜ合わせることで色を作るため,同じ色を作らせても,その色合いは微妙に違ってくると思われる。そこから,一口に「肌色」と言ってもいろんな肌色があってもいいのだということに気付かせることもねらいの一つである。
 本学級の児童は,入学当初からALTとのTTによる英語活動に取り組んでいるため,ある程度の語彙力,聞いて反応する力は育っている。色についてもこれまでたびたび取り扱われているので,代表的な色の英語表現を聞いて理解する,あるいは発音するということにも慣れている。しかし,色の表現を使って何かの作業をするという経験は少ない。
 ALTや他の外国人ゲストに対しては抵抗感が小さく,自分からかかわろうとする意欲もある。ただ,高学年という成長段階からくる恥ずかしさなどもあって,人前で英語を発話したり,大きなジェスチャーをしたりするようなことに抵抗を示す児童もいる。
 そこで,活動においては,色の表現を思い起こすようなゲームを導入とし,英語活動の楽しい雰囲気づくりをしたい。それから,NHK学校放送番組「スーパーえいごリアン」2002年度第4回目放送「ウォールペインティングに挑戦」を視聴させ,色づくりへの関心と意欲をかきたてる。視聴後は,赤,青,黄の三原色と白の絵の具を混ぜ合わせることで指示通りの色を作らせ,えいごリアンに色を塗らせたり,オリジナルのえいごリアンを描かせたりさせる。その際に,作業をすると場の中で意味のある英語表現をインプットすることを心掛けたい。(タスクベース)英語を聞いて反応するということ中心にするので,英語を発話しなければならないという児童の心理的な負担を軽減することができるであろう。また,教師の英語が理解できた結果としてえいごリアンの絵が完成するので,児童に達成感を味わわせることができると思われる。
 同じオレンジやピンクを作ったつもりでも,絵の具の混ぜ具合によっては色合いが微妙に違ってくることから,絵の具の「肌色」という言葉を取り上げる。固定された1種類の肌色ということはありえないということに気付かせ,さらに,人間の肌,目,髪の色などの外見的な外見的な違いもあって当然であるということに敷衍したい。(コンテントベース)いずれの活動においても,賞賛や励ましの言葉かけを多くし,全員が楽しんで取り組めるように配慮したい。


 本時の指導
 (1) 目標
  ア

  イ

  ウ
 教師からの簡単な英語での問いかけに聞き慣れた英語表現を使って反応することで,英語によるコミュニケーションの楽しさを味わわせる。(関心・意欲・態度)
 色の三原色を使った色作りという作業を通して,色や色作りに関する英語表現に慣れさせる。(技能)

 世界中の人の間で様々な外見的な違いがあって当然であるということに気付くことができる。(知識・気付き) 
 (2) 準備
スーパーえいごリアンのビデオ,テレビ,絵の具,画用紙,色水を入れたペットボトル
 (3) 展開
児童・生徒の活動 指導上の留意点と主な英語表現   ※評価
 あいさつをし,簡単な会話を楽しむ。
 全員とあいさつをしたあと,できるだけ多くの児童に質問を投げかける。
 Good afternoon, everyone. How are you?
 What time did you get up today?
 What did you eat for breakfast?
 色の名前を表す英語表現を振り返り,簡単なゲームを楽しむ。

授業の様子はこちら(動画)
 色の絵カードを見せながら,色を表す英語単語に触れさせる。
 red/orange/yellow/green/blue/indigo/purple…
 色探しゲームを通して,色の表現に慣れさせる。
 Touch something (red).
 スーパーえいごリアン2002年度第4回放送「ウォールペインティングに挑戦」を視聴する。


 本時の活動に関係のある前半部分だけを視聴させる。
 児童の表情を見ながら,一緒に視聴する。
 番組の内容を振り返る。


 How was today's Super-Eigorian?
 What did Simon say?
 What words can you hear?
赤・青・黄・白の絵の具を混ぜ合わせることで,様々な色が作れることを知る。

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 教師がペットボトルに入れた色水を混ぜながら,別の色を作るというデモンストレーションをする。
 If you mix blue and red, what color can you see?
 How do you make green?
 What colors do you mix to make green?
 教師の質問に英語や日本語で反応することができる。(技能)
 えいごリアンを指示された色で塗る。

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 オレンジかピンクのどちらの色を塗るか決めさせ,その色でえいごリアンの頭を塗らせる。(タスク)
 Which do you choose, orange or pink?
 How do you make orange (pink)?
 Please squeeze the paints and pour some water.
 Please paint the Eigorian's head orange (pink).
 進んで作業に取り組み,自分が決めた色を作ることができる。(関・意・態)
 自分だけのえいごリアンをデザインし,好きな色で塗る。
 鉛筆でアウトラインを描かせ,中を好きな色で塗らせる。(タスク)
 Please draw your original Eigorian.
 What color do you want to paint Eigorian's head?
 How do you make the color?
 What colors do you mix?
 You did a very good job!
 お互いの作品を鑑賞する。

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 お互いの作品を鑑賞させながら,同じ色を作ったつもりでも,色合いの違いが出ることに触れ,人間でも肌の色や目の色などが様々であって当然であるということに気付かせる。(コンテント)
 いろいろな肌色があることに気付く。(知識・気付き)

(ここから世界の人々の様子や暮らしに関する調べ学習に発展させることも可能です。)
 終わりのあいさつをする。
この時間の活動の様子をほめ,楽しい雰囲気で終わる。

本時の授業におけるタスクベース・コンテントベースの考え方
 ぬり絵をするという活動は,一見,低学年向けであり,高学年の児童が興味を持って取り組むとは思えません。しかし,そこに3原色を使った色づくりという活動にしたら,興味をもって取り組みました。その動機付けとしてNHK学校放送番組スーパーえいごリアン2002年放送第4回「ウォールペインティングに挑戦」の回を視聴させました。番組では,広い壁に絵を描くという活動が出てきましたが,それと同じ活動はできなかったので,3原色を混ぜた色づくりというコンセプトだけ利用し,画用紙の上で作業をさせました。
 最初のタスクは,教師の英語による指示に従って,ピンクかオレンジを選び,その色を使ってえいごリアンの頭を塗るという作業です。次は,同じく英語の指示でオリジナルえいごリアンをデザインし,その中の色を決め,色づくりをし,色を塗って完成させるというタスクに取り組んだことになります。
 その際,どの色を使うと目的の色が作れるかというのが高学年の知的好奇心を刺激する内容(コンテント)ということになります。また,最後には,同じ色(今回はオレンジ・ピンク)を作ったつもりでも,混ぜ具合で微妙な色合いの違いが出たことを取り上げ,肌色とはどんな色なのかということを考えさせ,人間も同じように外見的な違いはいろいろ当然だというまとめをしました。そこから,人種,気候風土,生活文化の違いなどを考えさせる国際理解教育へ発展させることもできるでしょう。今回の授業はそのきっかけとなると考えられます。