○ 学習指導案    小学校第5・6学年 「 英語活動 」

1 活動名 「インチで測ってみよう」(平成16年9月実施,14名)
        
(タスクベース・コンテントベースの英語活動例)
                                          授業実践者:佐賀県教育センター
                                                   研修員 宗  誠
                                                   ALT  Clear Lee 

2 単元とその指導について
 本単元では,インチという長さの単位を提示し,いろいろなものの長さをインチメジャーを使って測らせる活動を通して,自分たちの身の回りでインチという単位が意外と使われていることに気付かせたいと考えた。その際,インチや日本の寸・尺という長さの単位が,体の部分の大きさを元にしていることに触れ,異文化の中の同質性に触れさせることを主なねらいとしている。また,数を表す英語表現に慣れるとともに,ジェスチャーや聞き覚えのある英語表現を使って教師の質問に何とか答えようとする意欲を高めることもねらいのひとつである。
 本学級の児童は,入学当初からALTとのTTによる英語活動に取り組んでいるため,ある程度の語彙力,聞いて反応する力は育っている。これまでの英語活動でも,数を取り扱った授業はたびたび行われており,数字を表す単語や"How many 〜?"という英語表現にも慣れている。しかし,長さを表す単位が英語圏で異なるということを知っている児童は少ないと思われる。
 ALTや他の外国人ゲストに対しては抵抗感が小さく,自分からかかわろうとする意欲もある。ただ,高学年という成長段階からくる恥ずかしさなどもあって,人前で英語を発話したり,大きなジェスチャーをしたりするようなことに抵抗を示す児童もいる。
 そこで,活動においては,数を取り扱ったゲームから入り,まずは英語活動の楽しい雰囲気づくりをしたい。それから,NHK学校放送番組「スーパーえいごリアン」6回目放送「測ってみよう」を視聴させ,インチという単位に出会わせる。それから,それぞれの児童にインチメジャーを持たせ,フロッピーディスクやテレビ画面のサイズを測らせる中で,身の回りでインチという単位が使われていることに気付かせたい。その際,"How many inches is it from here to here?"という質問を繰り返しすることで,数を尋ねる英語表現に慣れさせたい。(タスクベース)
 最後に,インチと日本の寸・尺という単位がどちらも生活の中から生まれたものであることを紹介し,異文化の中の同質性に気付かせて授業を終わる。(コンテントベース)いずれの活動においても,賞賛や励ましの言葉かけを多くし,全員が楽しんで取り組めるように配慮したい。


 本時の指導
 (1) 目標
  ア

  イ
  ウ
 教師からの簡単な英語での問いかけに聞き慣れた英語表現を使って反応することで,英語によるコミュニケーションの楽しさを味わわせる。(関心・意欲・態度)
 数字や数を尋ねるときの英語表現に慣れさせる。(技能)
 インチという長さの単位に触れさせ,身の回りで使われていることに気付かせるとともに,日本の寸や尺と同じように生活の中から生まれた単位であることを知らせる。(知識・気付き)
 (2) 準備
数さがしゲームシート,ハエ叩き,スーパーえいごリアンビデオ,インチメジャー(児童分),テレビ,フロッピーディスク
 (3) 展開
児童・生徒の活動 指導上の留意点と主な英語表現   ※評価
 ALTやJTEとあいさつをする。

授業の様子はこちら(動画)
 全体にあいさつをし,個別に話しかける。
 Good afternoon, everyone. How are you?
 What did you eat for lunch?
 What did you do after lunch?
数さがしゲームを楽しむ。
 2チームに分かれ,ALTやJTEが言った数字を,黒板に貼った紙の中から見付け,ハエ叩きで叩く。
授業の様子はこちら(動画)
 初めは数字を言うだけにし,次第に数に関する 質問を交えていく。
 勝ち負けにこだわらず,楽しくゲームができる 雰囲気をつくる。
 スーパーえいごリアン2002年度第6回放送「測ってみよう」を視聴する。

 本時の活動に関係のある前半部分だけを視聴させる。
 児童の表情を見ながら,一緒に視聴する。
 番組の内容を振り返る。


 How was today's Super-Eigorian?
 What did Simon say?
 What words can you hear?
 インチという長さの単位の存在と生活の中での使われ方について知る。

授業の様子はこちら(動画)

 インチで表示されたメジャーを渡し,インチと いう単位について知らせる。



 3.5インチフロッピーディスクや21型(21インチ)のテレビを示し,どこの長さが使われているのか,実際に測らせて考えさせる。(コンテント)
 身近なところでインチという単位が使われていることに気付く。(知識・気付き)
 自分の手の大きさを測ってみる。

授業の様子はこちら(動画)








 紙に自分の手形をとらせ,親指の先から小指の先までの長さ,中指の先から手首までの長さなどを測らせる。センチメートルとインチで表すように指示する。(タスク)
 How many centimeters is your hand from here
 to here?
 How many inches is your hand from here to here?
 指示に従って手形をとったり,長さを測ったりすることができる。(技能)
 進んで活動に取り組もうとする。(関・意・態)
 インチとセンチメートルの由来につ いて話を聞く。
 インチや日本の寸・尺という単位が生活の中から生まれたのに対し,メートルという単位は地球の大きさが基になっていることなどを話す。(コンテント)

(ここから世界の様々な長さの単位やその由来などに関する調べ学習に発展させることも考えられます。)
終わりのあいさつをする。
この時間の活動の様子をほめ,楽しい雰囲気で終わる。

本時の授業におけるタスクベース・コンテントベースの考え方
 本時は言語材料として数字を取り扱っていますが,単に教師(ALT)のあとにつけて練習するだけでは,子どもたちの意欲は持続しません。数という語彙を使って意味のあるやりとりをし,そしてその中で子どもたちから「ヘェ…」という声がもれるような新しい気付きをするような内容を盛り込む必要があると考えます。
 そこで,今回はインチという長さの単位を示し,それが意外と身の回りで使われていることに気付かせるという内容(コンテント)を設定しました。センチメートルとの単位換算や,日本の寸・尺という単位と同じように生活の中から生まれたものであるということなども文化理解の内容として取り入れています。このことだけで異文化理解の目的が達成できたというわけではなく,子どもたちの興味を喚起し,担任の判断で調べ学習へも発展させられる材料ということでとらえてください。
 また,ALTの英語による説明を聞く必要性をもたせるために,ここでは自分の手形を紙に写し取り,親指から小指まで,中指から手首までなどの大きさをインチメジャーで測るというタスクを設定しました。その際に, "How many inches is your hand from here to here?"という質問を繰り返し投げかけ,子どもたちには数字だけですが英語で反応させました。英語のインプット量が少ない小学生に英語でいろんな反応が返ってくることはあまり期待すべきではありません。それよりも,教師の質問に簡単な英語,身振り手振りを交えた英語などで何とかして反応しようとする姿勢を育てることが重要でしょう。