学習指導要領から


 平成10年に改訂された学習指導要領では,現状を踏まえ,改訂の柱である「生きる力」の核となる「豊かな人間性」をはぐくむ道徳教育の重要性が強調されており,特に「豊かな体験を通して生徒の内面に根ざした道徳性」を育成することが求められています。

 具体的には,授業時数を確保し,道徳教育のかなめとしての「道徳の時間」を充実させること,さらには,「道徳的価値の自覚が一層図られるよう」「体験活動等を生かした,心に響く道徳教育」を実施することが挙げられています。

 元来,道徳の時間の目標は,「道徳的実践力」を育てることにあります。すなわち,「道徳的価値を一人一人の子どもたちが自分の内面から自覚し,将来出会うであろう様々な場面,状況において,道徳的価値を実現するための適切な行為を主体的に選択し,実践することができるような内面的な資質」を育てることにあります。

 無論,それは急に育つものではなく,「道徳的価値」すなわち「人間としてよりよく生きるとはどういうことなのか」を考えたり,「人間らしいよさ」を自覚したりすること等を繰り返すうちに育ってくるものと考えられます。また,道徳的価値の自覚を深めるには,前述の「心に響く」道徳の授業を行うことが大切になってくると思われます。