評価も肩の力を抜いて!

 「習熟の程度に応じた学習指導」でも評価の基本は同じです。気楽に考えましょう!「習熟の程度に応じた学習指導」とはいえ,評価規準は同じです。ここでは,評価について復習してみましょう。

コース毎に規準を変えてはダメ!
 「習熟の程度に応じた学習指導」は各学校で定めた基準を少しでも多くの生徒が達成するために行う,きめ細やかな指導方法の一つです。評価規準は各学校毎に決めるものなのですから,コース毎に規準を変えることはしません。
コミュニケーションへの関心・意欲・態度の評価
「積極性」と「継続性」を評価する
 自分の考えを相手に伝えようとしたり,相手の考えを理解しようとしている取組や積極的にコミュニケーションを続けようとする努力ができているかどうかを評価します。
 あくまでも「コミュニケーション」についての評価であり,学習態度や宿題などの提出状況などを評価するものではありません!
表現の能力・理解の能力の評価
「正確さ」と「適切さ」を評価する
 「正確さ」とは言語規則を基にした正しさのことであり,「適切さ」とは言語使用を基にした正しさのことです。表現の能力と理解の能力はこの2つを評価します。具体的に「聞くこと」では「正しく聞き取ることができるか」と「場面や状況に応じて適切に聞くことができるか」を評価することになります。

(例)ゆっくりとした口調で"Do you have a pen?"という質問を受けた場合,"Yes, I do."と答えることができれば,正確さについては規準を満たしていると言えます。しかし,自然な速度の会話の中でそれを聞き取れなかった場合は適切さに欠けていることになります。
言語文化に関する知識・理解の評価
「言語についての知識」と「文化についての理解」を評価する
 「言語についての知識」の評価は,正確さを支える「言語そのものについての知識」と,適切さを支える「言語運用の知識」の2つについて評価します。
 「文化についての理解」の評価は,日常の生活,風俗習慣,人々のものの見方や考え方などの違い,非言語的なコミュニケーション手段の役割や用い方などの「コミュニケーションに必要不可欠な知識」を理解しているかどうかについて評価します。
 具体的には「手紙の書き方」などは知っておくべき知識と言えます。なお,文化についての理解はすべての単元で評価する必要はありません。
評価の方法あれこれ
(1)テスト形式
 ペーパーテスト・音読テスト・聞き取りテスト・スピーチテスト・インタビューテストなど。

(2)観察による方法
 活動の観察・生徒の応答・録画チェックなどを用いて、特徴的で際立ったものだけを記録します。

(3)作品や提出物による方法
 作文や録画・録音テープなど生徒の学習の跡を残す作品や,ワークシートプリントなど。

(4)自己評価・相互評価による方法
 これは指導の一環として扱います。「評価」の材料とするのは慎重にしましょう。
絶対評価の進め方
 まずは,それぞれの課の目標を設定しましょう。それを念頭において評価規準を作ります。
 課の内容から判断して,授業で力点をおいた技能を通して評価するようにします。すべての内容について一度に評価するのではなく,単元によって何を評価したいかを決めます。聞くこと,話すことにウエイトをおき,学期・年間を通してバランスよく評価するようにしてください。
 観点別評価は何を評価するかによって方法は大きく2分されます。例えば安定して評価できる「知識」は,1度だけ評価して何割程度に達しているかで判断することも可能です。一方,「技能」や「関心・意欲・態度」は,環境や精神的な状態で変化しやすく不安定なので,複数回評価して,どの程度安定的に達しているかで判断するようにします。英語学習の場合,ほとんどが「技能」や「関心・意欲・態度」の評価なので,後者が適応されることが多いようです。

 1つの規準を複数回(といっても通常2〜3回)評価して判断しますが,1回の評価では○か×を見極めればいいのです。○が続けば安定的,恒常的にその技能に達していると考えられるからA,半分程度○ならB,それ以下ならCと判断します