|
4月に実施された全国調査の結果が、平成21年8月27日に文科省から各学校等に返却されました。本教育センターでは、県独自に調査していた学習状況調査の分析用として、平成19年度に「分析ツール」を初めて開発し、県内の各学校に提供し支援してきました。全国調査が実施されるようになり、これと同等の機能を持つツールが提供できないかと検討を重ね、平成20年度調査対応のツールを開発しました。同時に、県外の小・中学校や市町村教育委員会、教育センターなどの教育関係機関にも無償で提供し、その数は、平成20年度は合計871件に上り好評をいただきました。
「分析ツール」に関する問い合わせなどありましたら、佐賀県教育センターまでご連絡ください。
 掲載された「学校マネジメント2009.8月号」目次はこちら。編集後記はこちら

掲載された「内外教育2009.3.6号」はこちら
平成21年度調査用の「分析ツール」が完成し、現在、佐賀県教職員専用のポータルサイトで公開しています。「分析ツール」マニュアルはこちらです。
また、県外の教育関係機関には、前回と同様に無償で提供いたします。ただ、本ツールは学校現場支援の視点で開発しましたので、市町村教育委員会や都道府県全体の分析はできません。
提供要領はこちらです。
なお、提供依頼の際は、「様式」に記入・押印後、スキャナーで取り込んだ画像データとして、メール添付でお願いします。
提供依頼の宛て先はこちら 。
件名は「H21年度分析ツール依頼(○○県○○小)」のように都道府県名と学校名までお願いします。
(提供は、メールの返信でzip形式のファイルを添付します。小・中学校用別々ですが、容量がそれぞれ4MB程度あります。メールサーバーの仕様で受信メールサイズの上限が設定されていましたら、メールの本文に書き加えていただければ幸いです。)
|
この調査結果を分析すると、
○学力のうち、どのような点に成果があり、どのような点に課題があるのか。
○学習に対する意識や生活習慣などには、どのような特徴があるのか。
○正答率が高い児童には、意識や生活面でどのような傾向があるのか。
などを、客観的なデータとして把握することが可能になります。このデータは、各学校等の授業や教育活動の改善・充実にとって、今後の方向性を示唆する大変貴重な資料となります。
分析ツールとは?
データ分析をより簡便、かつ効率的に行うための方法の一つとして、グラフ等として視覚化するという方法があります。無味乾燥な数値の羅列を、目で見て分かる形に加工することで、様々な示唆がより得られやすくなります。今回の分析ツールとは、こうしたグラフによる視覚化等の作業を、各学校等が一つ一つ行わなくてもいいように、表計算ソフトを用いて、自動で処理できるようにしたものです。
分析ツール、ここがポイント!
今回の分析ツールは、教職員ポータル内にある県調査版をベースにしつつも、その後の各学校からの要望や提案なども盛り込み、充実を図りました。
ポイント1:ボタン一発でらくらく操作
今回の開発に当たって、第一に、「各学校が、少ない操作で出力できるように!」と考え、Microsoft Excelのマクロ機能を最大限に生かし、データ分析に有効な資料が得られるよう、工夫しました。各学校においては、基本的に文科省からの返却データファイルが入ったフォルダに、分析ツールファイルをダウンロードし、学校番号とクラス数を入力して、ボタンを押すだけで、あとは自動的に分析に必要なグラフが生成されます。
ポイント2:データを多角的に見るための多様な分析グラフ群
【新】:前回より新たに表示するグラフ
【機能アップ】:機能を追加したグラフ
(1)教科別レーダーチャート他【新】
国語、算数(数学)のA問題・B問題について、自校の観点別正答率を、国の正答率と比較することができます。自校の強み・弱みの外観を視覚的に見ることができます。さらに、自校の領域別正答率や観点別正答率を、国の正答率と比較することができます。
また、これらはボタンひとつで、県の正答率と比較するグラフに変わります。
教科別レーダーチャート
 |
| 国語A、国語B、算数A、算数Bの結果の外観を全国平均と比較したり県平均と比較したりしながら見ることができます。 |
教科領域別レーダーチャート
 |
| 国語A、国語B、算数A、算数Bの領域別結果の外観を全国平均と比較したり県平均と比較したりしながら見ることができます。 |
(2)正答数度数分布グラフ及び設問ごと正答率グラフ【新】【機能アップ】
正答数の度数分布グラフを表示します。また、設問ごと正答率がグラフ表示され、正答率の高い順に並べ替えることもできます。無解答率と重ねて表示しますので、設問ごとの分析が可能です。
教科別正答率の度数分布グラフおよび設問ごと正答率
 |
| 度数分布グラフで全体の様子が分かります。また、設問ごとに正答率と無解答率の状況を分析できます。国語A、国語B、算数A、算数Bそれぞれで全国平均とや県平均と比較し表示します。リンクを設定し、どんな調査問題だったかをpdfファイルで見ることができます。 |
(3)バブルチャート
自校の児童生徒について、A問題とB問題の相関関係を見ることができます。
(4)設問ごと解答類型グラフ【新】
国語、算数(数学)のA問題・B問題の設問ごとの解答類型による分布状況を、全国平均と比較しながら見ることができます。ボタンひとつで県平均との比較に変わります。誤答分析が可能です。
解答類型の棒グラフ
 |
| 国語A、国語B、算数A、算数Bの全部の設問について、解答類型のグラフを表示します。全国平均と比較したり県平均と比較したりしながら見ることができます。 |
(5)児童生徒質問紙の調査結果グラフ
設問ごとの回答状況について、学校と国・県との比較がグラフで表示されます。各学校における生活習慣や学習環境等の状況把握ができます。
児童生徒質問紙調査の結果の帯グラフ
 |
| 質問紙調査(意識調査)のすべての質問項目について、全国平均と比較したり県平均と比較したりしながら見ることができます。 |
(6)教科の正答率と質問紙のクロス集計グラフ【新】
教科の調査と児童生徒意識調査とのクロス集計結果を2種類表示します。
ひとつは、教科正答率の度数分布グラフに質問紙調査の回答状況を重ねて出力し、正答率との関連を見ることができます。もうひとつは、回答肢毎の単純な平均正答率を表示します。
教科の正答率と質問紙調査(意識調査)のクロス集計グラフ
 |
| 国語Aと国語Bの平均、算数Aと算数Bの平均別に、意識調査の回答状況を見ることができます。 |
教科の正答率と質問紙調査(意識調査)のクロス集計グラフ
 |
| 質問紙調査の回答選択肢ごとに、国語A、国語B、算数A、算数Bの平均正答率を棒グラフで表示します。相関を見るには別途、相関係数を計算する必要がありますが、分析のヒントになります。 |
ポイント3:グラフ作成後も、「いじりながら」データからの実感を!
上記のグラフのうち、「(2)設問ごと正答率グラフ」及び「(6)教科の正答率と質問紙のクロス集計グラフ」については、学校等の必要に応じて、ボタン一発でグラフの並びを変更したり、集計項目や表示方法を変更したりすることができます。データ分析においては、データを「いじった」者ならではの、なかなか言葉にしづらい「実感」が重要なことがしばしばありますが、こうした簡単な作業を通じて、これらの実感を得ていただくこともできるよう配慮しています。
■その他の工夫や配慮
グラフの色もユーザーの立場を考え、パソコンの画面ではコントラストの強いカラー表示を用いつつも、モノクロ印刷にした場合を考慮し、配色や網掛けを施しています。また、マクロを実行したあと、不要なエクセルファイルを「不必要なファイル」フォルダに自動的に移動するようにし、使いやすくしました。
ツールを通じて、ここを期待したい!
一口に学力と言っても、様々なとらえ方がありますし、今回の全国調査で、そのすべてが分かるものではありません。一方、昨今、「知識社会」と言われる中、実社会や実生活の様々な場面で、以前のように知識や情報を「知っている」、「覚えている」だけでなく、それらを生かして「考える」、新たな知恵を「創造する」ことが求められています。
今回の全国調査や、その背景にある学習指導要領の改訂で問われている「活用する力」とは、まさにこうした問題意識からのものであり、子どもたちの「生きる力」をはぐくむ上で、今後、重要視すべき要素の一つと考えます。また、こうした到達目標に一定の共通理解をもったうえで、「では、何に取り組むべきか?」を考えるに当たって、重要となるのは、各学校ごとに異なる児童生徒の現状の把握・検証です。
いかに到達目標がある程度共通のものであろうとも、そこにいたるプロセスは、現状に応じて様々であり、ましてや、教育課題の多様化が言われる昨今、その傾向はますます強まっています。
つまり、各学校自身が、「何をしたらいいのか?」を待つのではなく、自ら考え、みんなで工夫を凝らし、授業を変え、試行錯誤していくことが求められる時代です。
このようなことから、今、県教育委員会では、教育事務所を中心に「現場志向の政策形成」を合言葉として、各学校等に出向き、現場の皆さんと同じテーブルで、「子どもたちのために何が必要なのか?」をともに考え、取り組んでいます。
今回のツールは、こうした取り組みを行ううえで、まずは校内・外の関係者が、学校の現状・課題について共通理解を持ち、それぞれの強みと弱みを適切に判断しながら、建設的かつ効果的な協議・検討につなげていくための一つの有力な道具となるものと期待しています。
|